オープンソフト・プロジェクト管理ツールREDMINEを基盤にして、
ワークショップ形式でEVM(出来高管理)の組織的活用を検討します
特徴その1: オープンソース・ソフトウェアREDMINEを導入してEVMの基盤を迅速に構築します
特徴その2: ソフトウェア開発、製造業、管理系定型業務など幅広い業種・業界を支援します
特徴その3: EVM(出来高管理)の採用で、予定、進捗、実績の3指標を活用したバランスの良い本格的スケジュール管理が導入できます
特徴その4: 座学ではなく実際に存在するプロジェクトにリアルタイムに適用し、実際の担当者や部門責任者も参加して、EVMのメリットや課題を体得することができ、次のアクションに向けた見通しを得ることができます
EVM(出来高管理)とは
EVM(Earned Value Management: 出来高管理)はスケジュールとコストを統合的に把握することでプロジェクトの問題分析を可能にする長い歴史を持った手法です。
EVMにより、予算(工数やコスト)と実績を比較するこれまでの単純な予実管理から脱却し、真の進捗管理を行うことが可能となります。真の進捗管理は、実際の進捗、例えば完了した図面の数や実装が完了したプログラムの数などのデータを活用することで実現するのですが、REDMINEはそのためのデータを提供することができます。
EVMに必要な指標は3つ、計画値(PV: Planned Value)、出来高(EV: Earned Value)、実績値(AC: Actual Value)で、これらを計算することにより、さらにその他の補助的な指標値を計算することが可能です。
下に簡単な例を示しました。タスクは8個あり、それぞれ表に示すような開始日(予定開始日)と期日(予定終了日)があるとします。それぞれのタスクの期間はどれも6日間、予定工数(人日)は表のとおりで、現在日は10月22日(黄色で着色)です。すると、累積予定工数は予定工数の累積として、また累積出来高工数は、予定工数と進捗率の積の累積、累積実績工数は実績工数の累積として求められます。これらがそれぞれPV、EV、ACとなります。(計算を簡単にするために、これらの値がそれぞれのタスクの予定された最終日に発生するものとしています)
実際にPV、EV、ACをプロットすると下図のようになります。
このグラフからすでに多くの有用な指標を得ることができます。その見方を参考文献から引用しておきます。
この図で説明されていない指標もいろいろと計算できるのですが、ここではSPIとCPIを紹介し、その計算方法と使い方を紹介します。
SPIはSchedule Performance Indexつまりスケジュール上の効率指数で、計算式は、SPI=EV/PV、CPIはCost Performance Indexつまりコスト上の効率指数で、計算式は、CPI=EV/ACです。
これらはどちらも1以上であればスケジュールあるいはコストにおいてプロジェクトは望ましい状態にあり、1以下であれば望ましくない状態にある言えます。つまり以下のような判断ができることになります。
そこで、このSPIとCPIを同時に散布図として描き、散布図にはそれぞれの指標が1以上か1以下かによって4つの象限を設けると以下のような図が得られます。
このようにスケジュールとコストという2面からプロジェクトがどのような変遷をたどっているかをわかりやすく図示することができるのです。もちろんそれによって、迅速な対応策を実施するための洞察ときっかけが得られるのです。
ここまで説明すると、EVMがなにか数字の遊びであるかのような印象を受けるかもしれませんが、実は、EVMの適用において最も大切なことは、このような計算を行ったり、グラフを描くことではありません。担当者や現場にいる者にとっては、ここでどのような指標が算出されたとしても、それは些細な問題であり十分克服できることかもしれないからです。 重要なことは、わかりやすく具体的な指標を得ることで、経営者や現場を含む関係者の間でプロジェクトの現状を共有し、コミュニケーションを行うことなのです。それによって問題が容易に克服できることがわかればそれでよいのです。逆に、担当者には些細な問題に思えても、識者からすると重大な問題であることがわかる場合もあります。EVMの本質的な価値は、このようなコミュニケーションに必要な言語(語彙)を提供してくれることにあります。
共通する課題とその解決
上述の特徴とメリットを持つEVMですが、その実施に当たっては、業種やプロジェクトの種類にかかわりなく直面する共通の課題があります。それは以下のようなものです:
- プロジェクトの仕事の全体量(WBS:ワークブレイクダウンストラクチャ)をどのように事前に把握するのか。
- プロジェクト全体およびそれを構成する要素的な仕事の進捗をどのように把握するのか。どのようにしてそれらを整合させるか。
- EVMの稼働中に上記WBSが変更されたらどうするのか。
- EVMから出力される各種の指標をいつ誰に報告して、どのように活用するのか
- EVMから提供される各種の指標の精度をいかにして向上させるか。また、それらをどのようにして経営判断や現場の効率性、また顧客にとっての価値につなげていくか。
これらの課題には、決まりきった解決策があるわけではありませんが、それぞれの組織できちんと話し合い、検討する場を持つことができれば、なんらか納得のいく解決策あるいは妥協点を得ることができます。このコンサルティングは、そのお手伝いをしていきます。
EVM導入検証(コンサルティング)
このコンサルティングプログラムでは、EVM(出来高管理)を支援するシステムを実際に導入し、以下を実施します。
- システム導入
- プロジェクトの選定(複数可)
- WBSの準備
- チケットの投入
- 実績の投入
- 課題の確認とそれらの解決
検証メンバーとしては、5名程度の現場(部門)代表+3名程度の経営層(部門長など)が参加することを推奨します。
導入対象としては、できるだけ実際に存在するプロジェクト、あるいは実施予定のプロジェクトを選定し、この導入検証が成功した際には、そのまま実地に導入してメリットが得られることを狙います。
この導入検証期間においては、組織横断的な大規模な導入は避け、特定の部門に限定して小さな成功を狙うことを推奨します。小さな成功を報告会などで繰り返し発表し、周囲の関心を集め仲間を増やしていく導入ステップがリスクのない大きな果実を得る近道だからです。
導入検証のプロセス(手順)
このコンサルティングは以下のようなプロセスで実施します。標準的には3か月を要しますが、オプション的に追加期間を設けることも可能です。
打ち合わせは一月に2回、2時間ほどワークショップ形式で実施し、VisiWorkコンサルタントより宿題作業などを依頼しますので、打ち合わせの間にプロジェクトの選定やデータ収集などの作業を行っていただきます。最終的には社内発表会を実施していただくのが通常です。
有償プラグイン等の利用
お客様のご希望により、アジャイルウェア社のLychee REDMINE EVMプラグインを利用することが可能です。
また、標準的なREDMINEを利用して、その外部のBI(ビジネスインテリジェンス)機能でレポートを実装しながらEVMを稼働させることも可能です。(この場合は、想定される機能により別途費用をお見積りいたします)
さらに、シナジー研究所のfusion AIサービスを併用いただき、ChatGPTベースのEVM機能をチャットボットやREDMINE プラグインからご利用いただくことも可能ですので、お問い合わせください。