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【コラム】PMBOK第7版がタスク・マネジメントにもたらす意味とは?(2/3)

記事ID:3144

AIサマリー:
この記事では、PMBOK第7版の重要な変更点とそのタスクマネジメントへの影響を解説しています。第7版はプロジェクト・マネジメント標準と知識体系ガイドに分かれ、バリューデリバリー・システムとプロジェクト・マネジメント原則が強調されています。また、従来の知識エリアがパフォーマンス・ドメインに置き換えられ、プロジェクトの価値創出に焦点を当てています。

PMBOK第7版は、以下の2編から構成されています。

  • プロジェクト・マネジメント標準(STANDARD FOR PROJECT MANAGEMENT)
  • プロジェクト・マネジメント知識体系ガイド(A GUIDE TO THE PROJECT MANAGEMENT BODY OF KNOWLEDGE)

プロジェクト・マネジメント標準

プロジェクト・マネジメント標準は、プロジェクトがその中で運営される枠組みとしてのシステムを記述するものであると説明されています。
第6版以前にも、このプロジェクト・マネジメント標準は独立した扱いになっていましたが、その内容は、PMBOKの本編とも言えるプロジェクト・マネジメント知識体系ガイドのサマリーのような記述内容となっていました。
それに対して、第7版のプロジェクト・マネジメント標準は、かなり趣の異なったものとなっています。その、主な内容は、第2章のバリューデリバリー・システムと第3章のプロジェクト・マネジメント原則です。

第2章 バリューデリバリー・システム

プロセス指向から脱却したPMBOKは、プロジェクトの本来の目的は価値(バリュー)を生み出すことであるとしています。組織内には、ポートフォリオ、プログラム、プロジェクト、製品、オペレーションなど、様々なコンポーネントが存在し、それぞれが個別に、あるいは一緒に用いられることで価値をつくり出します。うまく組み合わせることで、組織戦略に整合したバリューデリバリーのためのシステム(バリューデリバリー・システム)を構成することができます。

このように、PMBOK第6版では、それ以前までの版で主役を務めていた「プロジェクト」が、より大きな枠組みであるバリューデリバリー・システムの中で、他のコンポーネントと同列のものとして相対化されています。この章では、そのシステムの具体的な姿が例示されています。


では、どうすればPMBOKに依拠したと言える行動が可能となるのか。そのよりどころとなるのが、プロジェクト・マネジメント原則です。

第3章 プロジェクト・マネジメント原則

すでに(1/3)で紹介した序文にもあるように、原則ベースは、プロセスベースと比較して、業務遂行における幅広いパラメータ(裁量の余地)を示し、原則の意図から外れていない限り、多くの選択肢が与えられることになります。
以下、これらのプロジェクト・マネジメント原則を日本語訳で紹介します。(1/3)にも書きましたが、これらの日本語訳はこの記事の筆者によるものです。正式の日本語訳は、今後に発行予定のPMBOK日本語版を参照してください。

プロジェクト・マネジメント原則

  1. 不断の努力を重ね、丁寧にふるまい、思いやりあるスチュワードたれ(スチュワードシップ)
  2. 協力的なプロジェクトチーム環境を創造せよ(チーム)
  3. 利害関係者を効果的に参加させよ(利害関係者)
  4. 価値に着目せよ(価値)
  5. システム相互作用を認識し、評価し、対応せよ(システム思考)
  6. リーダーシップ行動を明らかにせよ(リーダーシップ)
  7. コンテクストにあてはめよ(テーラリング)
  8. 品質をプロセスと成果物に対してつくり込め(品質)
  9. 複雑性のかじ取りをせよ(複雑性)
  10. リスク対応を最適化せよ(リスク)
  11. 適応力と回復力を取り入れよ(適応力と回復力)
  12. 変化によって思い描いた未来を達成せよ(変化)

1のスチュワードとは普段あまり使わない言葉ですが、投資の世界でスチュワードシップと言えば、機関投資家(企業)において資産運用受託者と呼ばれる役割のことです。したがって、1は、プロジェクトにかかわる者は、資金が投入された投資としてのプロジェクトを成功させる義務があると言っているのだと思います。

プロジェクト・マネジメント知識体系ガイド

第6版までにあった、10個の知識エリアは、以下の8個のパフォーマンス・ドメインに置き換わりました。それは、以下の通りです。章名の末尾の「パフォーマンス・ドメイン」は省略します:

  • 2.1 プロジェクト・パフォーマンス
  • 2.1 利害関係者
  • 2.2 チーム
  • 2.3 開発アプローチとライフサイクル
  • 2.4 計画
  • 2.5 プロジェクトワーク
  • 2.6 デリバリー
  • 2.7 計測
  • 2.8 不確実性

当サイトVisiWork(ビジワーク)のテーマであるタスク・マネジメントに最もかかわりが深い章は2.3 開発アプローチとライフサイクルです。これについては、この記事の続編(3/3)で書きます。


ところで、有名なWBSはどこへ行ったのでしょう。WBSとはWork Breakdown Structure(ワークブレークダウンストラクチャ)のことで、プロジェクトで実施しなければならない作業項目を精密に構造化したものです。第6版までの「プロジェクト・スコープ・マネジメント知識エリア」で主役の感があったWBSは、デリバリー・パフォーマンス・ドメインでの簡単な記述にとどまっています。
また、EVM(Earned Value Management:出来高管理)は、これも従来型のプロジェクト・マネジメントにおける進捗管理の代表的な手法でしたが、これは計測パフォーマンス・ドメインの中で、カンバンなどと主に説明されています。

続く(3/3)では、上記した2.3 開発アプローチとライフサイクル(パフォーマンス・ドメイン)に着目し、タスク・マネジメントにとっての意味を考えます。

PMBOK第7版がタスク・マネジメントにもたらす意味とは?(1/3)
PMBOK第7版がタスク・マネジメントにもたらす意味とは?(2/3)
PMBOK第7版がタスク・マネジメントにもたらす意味とは?(3/3)

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