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【コラム】PMBOK第7版がタスク・マネジメントにもたらす意味とは?(3/3)

記事ID:3145

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この記事(3/3)では、プロジェクト・マネジメント知識体系ガイドの2.3 開発アプローチとライフサイクル・パフォーマンス・ドメインについて説明し、タスク・マネジメントにもたらす意味を考えてみます。

開発アプローチとライフサイクル・パフォーマンス・ドメインの主要な概念と用語

このパフォーマンス・ドメインの効果的実行の結果として得られる成果は、以下の2点であるとされています。

  • 開発アプローチ
  • プロジェクト・ライフサイクル

プロジェクト・ライフサイクルは、プロジェクト・フェーズの連なりのことですが、プロジェクト・ライフサイクルについて以下の2点が強調されています。

  • ビジネスの活動と利害関係者のバリュー(価値)をつなぎ続けること
  • プロジェクト成果物を生産するために必要なデリバリー・ケーデンスと開発アプローチを容易にするものであること。

つまり、プロジェクト・フェーズとは、単なるアクティビティのグループ化であってはならないということです。
デリバリー・ケーデンスのケーデンスとは聞きなれない言葉ですが、Wikipediaによれば、技術用語として「回転数・歩数(通常一分当たりの回数で示す)」という意味があるとされていて、音楽とも関係がありそうです。そうなると、デリバリー・ケーデンスとはデリバリー(納品)の間隔・リズムということになります。アジャイル開発、反復型開発、リーン生産方式、そうした概念からの影響があるのでしょう。


ケーデンスを含めて、このパフォーマンス・ドメインに係る用語が定義されていますので、これらも日本語訳で紹介します。

用語の定義

成果物
ユニークで検証可能な製品、結果、あるいはサービス遂行の能力など、プロセス、フェーズ、プロジェクトの遂行によって生産すべきもの

開発アプローチ
製品、結果、サービスをつくり出す、あるいは発展させるためにプロジェクト・ライフサイクルを通じて用いられる方法。主な例として以下を紹介しています。

  • 予測型(ウォーターフォール型)
  • ハイブリッド型
  • 適応型

ケーデンス
プロジェクトを通じて実施されるアクティビティのリズム。例として以下を紹介しています。

  • 単一デリバリー
  • 複数回デリバリー
  • 定期的デリバリー

プロジェクト・フェーズ
特定の成果物を目的とする、論理的に関係するアクティビティの集まり

プロジェクト・ライフサイクル
フェーズの連なり

上記した用語の内で、最も厚みを持った用語は、開発アプローチでしょう。その選択には様々、考慮すべき点があります。ここでは、その考慮すべき点が、3つの観点で分類されています。①製品、サービス、結果、②プロジェクト、③組織という3つの観点です。詳述はしませんが、PMBOK第7版を入手して、これらの考慮すべき点から、自分が関係するプロジェクトにふさわしい開発アプローチはどんなものか考えてみると良いでしょう。また、これらの概念と用語を実際にどのように組み合わせてプロジェクト・ライフサイクルをつくり出すのか理解できるように、コミュニティーセンター設立というわかりやすい事例が説明されています。(下表参照)

(PMBOK第7版プロジェクト・マネジメント知識体系ガイド2.3.6より筆者が日本語訳して引用)

求められる計画への複合的視点

これまで3回にわたって、PMBOK第7版を概観してきましたが、大きく変化したポイントの一つは、この記事(3/3)で紹介した開発アプローチとライフサイクル・パフォーマンス・ドメインであると筆者は考えます。そこで説明されているのは「プロジェクト計画への複合的視点」とも言えるものです。
これまでプロジェクトの計画に対しては、大雑把に言って、二つのとらえ方がありました。一つは、製造や建設・エンジニアリングのような業界を中心とした、「一度立てた計画は守らなければならない」というもの。もう一つは、ソフトウェア業界、あるいはコンサルティング業界などを中心とした、「計画は立てるが、実際にはやってみなければどうなるかはわからない」というものです。


それぞれのとらえ方には理由があります。前者の業界では、一般に契約金額も高額で、参加するプロジェクト関係者も多く、「一度立てた計画が守られない」事態など、発注者としては考えたくもありません。後者の業界では、発注者側がプロジェクト開始時に要件を明確に提示することができないことが多く、そうした場合には、最初に立案した計画通りのシステムの完成を約束することなど、受注者としてはどうしてもできない相談ということになります。そして、これらプロジェクトの計画に対する二つのとらえ方にしたがって、それぞれの業界は、請負契約と準委任契約(ソフトウェア業界でのSES契約を含む)を選択してきたと言えます。


しかしながら、PMBOK第7版は、「価値」に立脚すれば、プロジェクトの契約はこれらの二つに一つの選択しかないという「法律的」ステレオタイプから脱却できると教えてくれます。(価値と言う考え方も、従来なら顧客価値という言葉が使われたものですが、PMBOK第7版では積極的には使われておらず、「利害関係者の価値」に置き換わったと考えられます。カーボンニュートラルやSDG‘sなど、地球環境やサステナビリティーといった全体的な価値が重視されるこれからの社会に向けた配慮がそこにはあるのだと思います) さらに、契約が法律的ステレオタイプから脱却できるのならば、その導入部である営業、そしてマーケティングについてさえ、ステレオタイプから脱却できるということになります。それは、価値に立脚することが、計画への複合的視点を許容し、むしろそれを積極的に求めてくるからです。計画への複合的視点とは、「どのような成果物(商品、製品、サービス、支援)がどの時点で、どのように必要とされるかを複合的にとらえることです(PMBOK第7版で説明されている用語ではありません)。その結果、導かれる特定フェーズの業務が一つの契約の範囲内に収まっている保証はなく、その必要性もありません。


価値に立脚すれば、製造業といえども、適応型開発アプローチによる複数回デリバリー(ケーデンス)が意味を持つかもしれません。また、いまや恐竜扱いになっている予測型(ウォーターフォール)によるソフトウェア開発ですら、受注側・発注側両者を含む利害関係者全体の価値につながると積極的にいえる場合があるでしょう。

タスク・マネジメントにとっての意味

最後に、PMBOK第7版が、当サイトVisiWork(ビジワーク)のテーマであり、テレワーク時代を迎えて関心の高い、タスク・マネジメントにもたらす意味について述べたいと思います。


タスク・マネジメントの第1歩はタスクの列挙です。しかしながら、タスク・マネジメントの導入が始まっても、この第1歩の段階で、疑問の声が上がることがあります。例えば、製造業ならば、「変更が多く、先を見通してタスクを登録することなどできない」とか、ソフトウェア開発プロジェクトでは、「アジャイル開発なのでウォーターフォール型のようなタスクの管理は意味がない」などなど。


しかし、ここでPMBOK第7版が説く、バリューデリバリー・システムについて思い起こすべきです。業界や契約形態を問わず、プロジェクトでは、発注者と受注者、両者が協力して、一生懸命価値を創出しようとしているはずです。つまり、バリューデリバリー・システムを動かしているのです。その時に、先を見通す必要がないでしょうか。


人が組織で作業している以上、数週間、数か月の業務は、予測ができているはずです。そしてそれが予想の通りに進むように組織全体で支援すること、予想通りいかなかった場合、それがなぜであるかを検証できるための可視化がなされていることは、収益性や生産性向上のために必須の要件であると思います。
自社には向いていないのではないかというフィーリングだけでタスク・マネジメントの導入をあきらめることはとても残念なことです。自社のバリューデリバリー・システムを見極めて、タスク・マネジメントを活用することが求められています。


以上3回にわたって、PMBOK第7版とそのタスク・マネジメントにとっての意味について書きました。これだけの示唆に富むPMBOK第7版が11月には日本語版で読むことができることが楽しみです。

PMBOK第7版がタスク・マネジメントにもたらす意味とは?(1/3)
PMBOK第7版がタスク・マネジメントにもたらす意味とは?(2/3)
PMBOK第7版がタスク・マネジメントにもたらす意味とは?(3/3)

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