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【事例】 受注型製造業とREDMINE

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この記事では、岐阜県土岐市の熱処理設備メーカー、高砂工業株式会社様における導入事例を紹介しています。日経新聞社主催シンポジウムにおけるプレゼンテーション資料でも解説しています。(2021年9月6日追記)

はじめに

この記事では、製造業におけるREDMINEの活用実績例について説明します。この事例はREDMINEが使われることの多いソフトウェア開発とはかけ離れた分野で、REDMINEが有効であることの証明となるものです。

業務可視化という目標

お客様がREDMINEの活用に求めたものは業務可視化の効果でした。このお客様では製造現場においてトヨタ生産方式の導入を済ませていて、かなりの可視化あるいはトヨタ生産方式における「目で見る管理」や整理整頓などの活動が定着しつつありました。しかし、その上流である設計分野は依然として課題がありました。それは誰がどのような業務(タスク)にどれだけ時間を使っているかが、設計部門はほぼ全員がデスクに向かう仕事であるだけに、わかりづらいという課題でした。可視化が進まなければ、問題の洗い出し、改善策の検討が進めづらいからです。

そんな時、シナジー研究所の依田が経営者の方と出会いました。その出会いから1年ほどの時間をかけて、いくつかの課題の優先順位を話し合い、まずはREDMINEによる業務可視化に取り組むこととなりました。したがって、当初から目標は、特定の受注案件に限らず設計部門を通過する全受注案件にREDMINEを適用する、すなわち部門全体にタスク管理を導入するというものでした。

段階的導入プロセス

このタスク管理導入プロジェクトはいまでも展開を続けていますが、シナジー研究所が支援したのは、2019年12月から約10か月あまりです。(下表参照)

最初のフェーズ0では、シナジー研究所とお客様の間で方向づけと意識合わせを行い、この図にあるようなフェーズ0からフェーズ3に至る大まかなプロジェクトスケジュールを決定しました。

ポイントは、3つの次元での段階的拡張を目指したことです。3つの次元とは、事業、管理手法、案件(プロジェクト)です。

  1. 【事業】 設計部門がかかわる二つの事業に対し、それぞれの製品特性や繁忙などに配慮しながら部門包括的にタスク管理を導入する。異なる事業に対して、同じ手法や同時進行を求めない。
  2. 【管理手法】 ガントチャートに代表されるようなスケジューリング管理をまず導入し、その後、工数管理を導入し、さらに効果を確認しながら、より高度な管理手法であるEVM(出来高管理)の導入を視野に入れていく。
  3. 【案件(プロジェクト)】 適用する受注案件は段階的に増やし、最終的には全受注案件をタスク管理の対象とする。

以上の3つの次元での段階的模索のプロセスが上表であると言えます。

以上のプロセスの中で、議論と試行錯誤を重ねたテーマには以下のようなものがありました。

  1. ワークフローをどのように定義するか
  2. 使いやすさや進捗管理の効果を実現するためにチケットの構造をどう定めるか
  3. システム(REDMINE)から提供されるデータをどのように活用するか

などです。これらは、こちらのお客様に固有というよりは普遍性の高いテーマであり共通的な解決手法があり得るものです。この導入プロジェクトでは、それらをシナジー研究所から紹介し、いくつか異なるアプローチをお客様にトライしていただきながら段階的に標準的な考え方を決めていきました。(共通的な解決法は、当サイトにて【TIPS】記事として紹介しています)

高度利用と利用拡大へ

前表のフェーズ2の終わり、2020年6月には、ほぼ全受注案件への導入が完了し、7月からはより高度な手法であるEVM(出来高管理)に取り組むことになりました。EVMは、REDMINEに登録された予定工数、進捗、そして実績工数をもとに、いくつかの指標を計算することで、スケジュールとコストの状態を独立に評価しさまざま気づきを得る手法です。導入プロセスの前半で、予定工数、進捗、実績工数を正確にまめに入力する体制をつくれたことが、EVMの導入につながりました。

(当サイトではEVM(出来高管理)について詳しく紹介していますから参考にしてください)

現時点(2020年12月)において、設計業務に関わる全員、約100名規模のユーザーがREDMINEを利用して、引き続き、業務の効率化と可視化に取り組んでおられます。

参考情報

このタスク管理導入プロジェクトでは、アジャイルウェア社のLychee REDMINEを利用しました。

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