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【解説】SalesforceとREDMINE、その連携ユースケースと実装方法

AIサマリー:
この記事では、SalesforceとRedmineの連携ユースケースと実装方法を紹介しています。ユースケースには、見積依頼や受注情報の共有、進捗情報の交換、実行完了時の結果報告があります。連携方法として、Salesforceでの商談情報を基にRedmineでプロジェクトを自動生成し、タスクや質問を登録する手法が説明されています。これにより、営業と実行部門の連携が強化され、効率的なプロジェクト管理が可能となります。

REDMINEの導入支援の際には、SFA/CRMのような営業系システムのことがしばしば話題になります。REDMINEはいわゆる実行系、つまり、製造やサービスの実行を支援するシステムです。そのREDMINEの導入を検討する際には、実行のきっかけをもたらす営業系システムとの連携が検討課題として認識されることが多いのだと感じます。

この記事では、このような検討の参考となるように、以下の2点について解説します。

  1. 営業系・実行系連携機能のユースケース
  2. これらユースケースの実装方法

営業系・実行系連携機能のユースケース

SFA/CRMとREDMINEの連携機能にはどのようなユースケースがあるでしょうか。

SFA/CRMは、商談や受注を支援するためのシステムです。それに対してREDMINEは実行系ですから、まずは、商談が発生した際に、商談の情報をREDMINEに対して連携することが考えられます。実行が開始された後は、営業系と実行系が双方に有益な情報を随時交換することも必要となるでしょう。
さらに、製造業を例にとって考えると、実行系の終了とは、納期の確定や在庫の増加といったイベントを意味することになりますから、そのタイミングで営業系が必要とする情報を戻してあげることも必要になるでしょう。

以上まとめると、営業系・実行系連携機能のユースケースは、大まかには、以下の3つであることがわかります:

  • ユースケースA: 見積依頼や受注時にその情報を実行系に伝える
  • ユースケースB: 実行系が開始されてから終了まで、随時営業系・実行系の間で情報交換する
  • ユースケースC: 実行系が終了した際に、その結果を営業系に送り返す

以下では、上記のユースケースAについて、もう少し具体的に検討してみましょう。

「ユースケースA: 見積依頼や受注時にその情報を実行系に伝える」を具体化する

以下では、製造業の見積業務を例にとって考えます。

同じ製造業でも、量産品の製造ではない受注型製造業では、営業担当だけで見積が行えるケースはあまりないでしょう。見積のためには、設計・製造など関連部門の担当者の知見が不可欠となるからです。ここで、営業系・実行系の有機的連携が効果を発揮します。
客先から営業に対して見積依頼があった時、SFA/CRMシステムでは、まず商談を登録することになります。これは、SFA/CRMシステム側の作業ですが、その商談情報を具体化して、見積のためのプロジェクト(見積プロジェクト)をREDMINE側に自動的に作成できれば便利です。
その際、その作成した見積プロジェクトの中に、見積で必要となる情報を提供するための具体的なタスク(REDMINEチケット)を登録しても良いですし、もっと単純に、営業から設計・製造部門に答えてほしい質問を登録するなどとしても良いでしょう。
そして、その見積プロジェクトが、随時、営業から参照できれば進捗もわかりやすく、さらにデジタル情報による連携によって、見積書の作成業務がより効率的になります。

以下では、説明をより具体化するために、SFA/CRMとしてポピュラーな製品であるSalesforceを例にとって説明します。

前述の「商談」は、Salesforceにおいても商談と呼ばれます。Salesforceでは、商談作成のような操作、あるいはイベントに応じて、あらかじめ作成したアプリケーションを起動することができます。そのアプリケーションに、Salesforceのプロジェクトを作成させればよいのです。

図 Salesforceの商談作成に連動して、REDMINE側で見積プロジェクトを作成する

Salesforceの連携先相手であるREDMINEにはAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)が用意されているので、様々な動作をプログラム的に実行することができます。前述したように、この時、見積プロジェクトを作成するだけではなく、設計部門や製造部門に実施してほしい見積作業、あるいは質問等をタスク(チケット)として同時に登録することもできます。

この見積プロジェクトの進行状況と、そこから生み出される情報は、営業サイドから常に確認したい情報であるかもしれません。そのためには、営業サイドから実行系システム、つまりREDMINEを操作してもらう方法がありますが、もっと簡単なやり方もあります。
Salesforceの商談情報中に、REDMINE側のプロジェクトあるいはタスク(チケット)のURLを記載するだけで、営業側から見積プロジェクトの状況をリアルタイムに参照できるようにできるのです。

図 Salesforceの商談情報に記載されたREDMINEのURL

SalesforceとREDMINEの連携を図示すると以下のようになります。

SalesforceとREDMINEの連携によって、比較的簡単に営業系と実行系の有機的連携を図ることができます。連携のユースケースには様々なものがあるでしょう。また、その実装方法も、ここに紹介した方法だけではなく、いくつか異なる方法が可能です。
VisiWorkサービスでは、お客様固有の要件を分析し、最適な方法で、営業系・実行系の連携機能をご提案することができます。

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NEWS

【NEWS】日本経済新聞社主催のシンポジウムでVisiWorkについて講演しました

2021年2月12日の日本経済新聞主催・厚生労働省共催のNIKKEI Smart Work シンポジウム「トップが主導する企業のテレワーク戦略 」にて、VisiWork運営会社シナジー研究所の代表依田が下記の通り講演しました。講演では、テレワークの浸透を深めるために、識者の意見として、タスク・プロジェクト管理の必要性とその支援ソリューションであるVisiWorkについて説明しました。

講演内容

プロジェクト管理の知恵でテレワークの第2ステージへ
–ICTによる仕事の可視化が、イノベーションを可能にする–

  1. テレワークのメリットと課題
  2. 効率的なテレワークとは
  3. タスク・プロジェクト管理の実装:REDMINE
  4. タスク・プロジェクト管理の例:高砂工業株式会社様
  5. 仕事の可視化からイノベーションへ
  6. 課題解決支援サービス:VisiWork

シンポジウム全体の流れ

まず、厚生労働省から国としてのテレワークへの取り組みの紹介があり、その後、慶応大学大学院鶴教授より、新しい働き方としてのテレワークはテクノロジーを活用して多様で柔軟な働き方を実現する好機であるとする基調講演がありました。リモートの限界に挑戦し、新しい働き方が可能であるという信念を貫くべしと結ばれました。

次に、シナジー研究所代表依田が、上記の内容で講演し、その後、ベルフェイス株式会社から非対面デジタル営業のための専用システムの紹介がありました。コロナ禍によりやむなく始めたテレワークではあるものの、現在のやりづらさや苦しさは、テクノロジーによって克服可能であり、その先に従来実現できなかった柔軟な働き方が可能になるという考え方で一貫性のある講演の流れとなりました。

その後、厚生労働省「テレワーク宣言企業」の選定企業によるパネルディスカッションがあり、シンポジウムは終了しました。パネルディスカッションでは、各社においてテレワークを始めたきっかけ、実施している工夫、今後の課題や対策が紹介され、意見交換が行われました。

テレワーク戦略を扱ったシンポジウムとして視聴者に参考になる情報がわかりやすい順番で提供される有益な場となりました。

依田講演資料の補足

以下では、依田の講演資料において、時間の制約から末尾に回して補足資料としたスライドについて解説します。スライド全体は、こちらからダウンロードできます。

資料① 2020年に認識された課題

テレワークの課題が次第に変化しているという冒頭の説明のために、2020年の5月から10月までの間での変化がわかる日本生産性本部の調査レポートの一部を表形式にまとめたものです。

資料② プロジェクト管理の知恵 (エッセンス)

プロジェクト管理の知恵とは何か、そのエッセンスを依田の経験をもとにまとめたものです。これについては、近々、VisiWorkサイトにて解説記事を掲載予定です。

資料③ 出来高管理(EVM)は最高のコミュニケーションツール

プロジェクト管理の知恵の中で最高峰と依田が考える出来高管理(EVM)について解説したスライドです。この一枚ではわかりにくいと思いますので、是非、VisiWorkサイトの関連記事をご覧ください。

資料④ ハイブリッドアプローチ

シンポジウムの講演では、比較的導入しやすいタスク管理と100年の歴史があるプロジェクト管理とをミックスして使うことをハイブリッドアプローチとして推奨し、そのためのツール(REDMINE)を紹介しました。このスライドはそのハイブリッドアプローチを図解したものです。

資料⑤ タスク・プロジェクト管理のハイブリッドなアプローチ

ハイブリッドアプローチの具体的な姿を説明したのがこのスライドです。縦軸では従業員を、横軸では部門やプロジェクトを示しています。営業部門に対しては、稼働時間の管理だけを行っていますが、重要な提案業務に対しては、プロジェクト管理手法であるスケジュール管理を行って担当者の負荷を管理しています。また、設計製造部門の大型案件については、さらに出来高管理(EVM)も適用して進捗管理、予実管理、納期予測を行っています。

資料⑥ 高砂工業株式会社様の取り組み

講演で紹介した熱処理システムメーカー、高砂工業株式会社様における出来高管理(EVM)導入の実際のスケジュールです。株式会社シナジー研究所が直接ご支援した導入プロジェクトは2019年12月~2020年9月に行われました。

資料⑦ 記事サイト運営

REDMINE導入事例の二つ目として紹介する予定だった株式会社シナジー研究所VisiWork事業における使用例です。ブログ記事の執筆などVisiWorkサイトのコンテンツを拡充する業務全体をREDMINEでプロジェクト化しています。

業務では、REDMINEのほかに、オンライン会議ツールであるZOOM、チャットルールのSlackなども利用し、モバイル環境でプロジェクトの進捗を確認するためにREDMINEのスマホアプリも使用しています。

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NEWS

【NEWS】日本経済新聞社主催のシンポジウムでVisiWorkについて講演します

イベントは終了いたしました。ご聴講ありがとうございました。講演動画はこちら

すでに日本経済新聞で告知されておりますが、NIKKEI Smart Work シンポジウム「トップが主導する企業のテレワーク戦略 」にて、VisiWork運営会社シナジー研究所の代表依田が下記の通り講演しますので、是非ご聴講ください。

講演タイトル

「プロジェクト管理の知恵でテレワークの第2ステージへ― ICTによる仕事の可視化が、イノベーションを可能にする ― 」

開催日: 2021年2月12日(金) 13:00~15:40 、WEB配信 事前登録 (受講料無料)

講演では、1年間のコロナ禍により半ば無理やり始めることになったテレワークの現時点の課題とその解決策について語ります。解決策としては、タスク・プロジェクト管理を導入することで、仕事が可視化され、テレワークを足掛かりとした生産性の向上が期待できることを説明します。また、タスク・プロジェクト管理のプラットフォームと、ユーザー向けの支援サービスであるVisiWork™についても説明します。

講演内容

  • テレワークのメリットと課題
  • タスク・プロジェクト管理の実装と事例 (テレワークを超えて)
  • タスク・プロジェクト管理あと押しサービスVisiWork
  • まとめ
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【解説】チャット(Slack)とタスク管理(REDMINE)の相乗効果

AIサマリー:
この記事では、SlackとRedmineの連携による相乗効果について解説しています。Slackは迅速なコミュニケーションを可能にし、Redmineはタスク管理を効率化します。Slack内にRedmineのチケットURLを記載することで、タスクの詳細情報に簡単にアクセスでき、担当者の状況確認やタスクの進行が円滑になります。また、SlackのRSSアプリやRedmineプラグインを利用して、更新情報を自動通知する方法も紹介されています。

チャットツールは、昨今ビジネスシーンでも利用が拡大しています。リモートワークの進展、働き方改革のツールとしても注目されています。この記事では、チャットツールのメリットと課題、そしてタスク管理との相乗効果について、具体的にSlack とREDMINEの連携を例にとって説明したいと思います。

チャットツールのメリット

チャットツールのメリットはツールにより特色がありますが、大きくまとめると3つあります。

スピーディなやり取りができる

メールより短いメッセージを簡単に送信することができます。あいさつ文などを省略して、会話形式でスピーディなやり取りができます。

複数人での情報共有が簡単にできる

チャットツールでは目的に合わせてメンバーのグループ分けが可能です。メール送信時のようにCCの設定を意識する必要がなく、部署やチームごと簡単にメッセージを共有できます。

コミュニケーションが活発になる

簡単にメッセージのやりとりができるため、コミュニケーションの活発化が期待できます。また、スタンプなどが手軽に利用でき親近感を表すこともできます。

チャットツールの課題をタスク管理で解決

チャットツールは業務の効率化、コミュニケーションの活性化に繋がりますが、大量のメッセージが流れ去っていくことになる結果、過去の経緯を調べてアクションすることが困難な場合があります。メッセージのやり取りによって決まったはずのタスクの担当者が誰なのか、メッセージを遡って探すことは大変です。

また、チャットのメッセージは構造化された情報ではないため、過去のメッセージを検索する際に、特定のキーワードで検索すると、関係の無いメッセージが大量に引っかかってしまう場合があります。

上記のような特性から、チャットツールは、REDMINEのようなタスク管理ツールと組み合わせることで本領を発揮するものであり、チャットツールとタスク管理ツールの間には大きな相乗効果があると言えるのではないでしょうか。

簡単で具体的な相乗効果の例をあげます。チャットツールのメッセージ内にチケットIDを記載するだけで、チャットメッセージだけでは曖昧だったタスクや課題がハッキリします。REDMINEのチケットは発行されるとそのチケットのURLが固定されるため、メッセージ内にチケットのURLを記載することで、REDMINE側の豊富で安定した情報を簡単に補うことができるのです。

以下は、チャットメッセージ内にREDMINEチケットのURLを記載した例です。

このURLをクリックするだけで、REDMINEが呼び出され、以下の画面が表示されます。

タスクの実行をチャットツールで加速する

タスク管理においては、タスクを円滑に実行することが一つの目標になります。REDMINEでは、タスクの実行、つまりチケットのステータス更新をメールによって通知する機能がありますが、チャットツールを補助的に使うことで、タスクの実行が加速されます。チャットツールによって生産性が向上すると言っても良いでしょう。

例をあげます:

  • 作業担当者にチケットを割り当て、作業を依頼したが、チケットのステータス更新情報が長期間通知されてこないメンバーがいる。この場合、作業者から管理者に対して、何らの連絡もこない場合でも、管理者は作業担当者に状況を問い合わせる必要があるでしょう。この時、メールでも可能ですが、例えば、Slackのチャンネルを利用すれば、多くの仲間が共有する情報の流れの中で、問い合わせをすることになり、少々堅苦しいメールと比較して返信がしやすくなり、また、周囲からのさまざま情報や協力を得ることも容易となるでしょう。
  • 作業担当者が作業完了した時に、チケットのステータスを「承認中」に変更し、担当者を承認者に変更するといったワークフローが良く使われます。この場合、承認者は、REDMINEが自動送信するメールによってチケットの更新情報を受取り、承認作業が開始できることに気づくことができます。しかし、そのタイミングは一回だけです。そのメールが何らかの理由により開封されないとか、相手が多忙であった場合などは、タイムリーな承認が行われず、放置された結果、そのままチケットの進行が止まってしまうかもしれません。そのような場合でも、チャットツールがあれば、メールよりも気楽な催促が可能となり、かつ前例のように、周囲からのさまざま情報や協力を得ることが容易となるでしょう。

SlackとREDMINEの連携方法

前記の「チャットツールの課題をタスク管理で解決」では、Slackのメッセージ内部にREDMINEのURLを貼り込むことで、REDMINEの豊富で安定した情報にリンクする方法について説明しました。

それに対して、SlackとREDMINEの二つのシステムの間で自動的に情報を連携させる方法があるので、その中の2つをご紹介します。

REDMINEプラグインを利用する

REDMINEに「redmine-slack」プラグインを追加し、Slackと連携する方法です。REDMINEがインストールされているサーバーを自社で管理している場合に導入可能です。事業者が提供するWebサービスを利用する場合は、事業者に確認が必要です。

Slackの「RSS」アプリを利用する

Slackに「RSS(リンク)」アプリを導入し、REDMINEの更新情報を取得し通知する方法です。REDMINEがインストールされているサーバーの操作ができない場合でも対応可能です。事業者が提供するWebサービスを利用する場合は、こちらの方法の導入が容易です。詳細は以下を参照ください。

Redmineワンポイントチェック(7): Redmineのチケット更新をSlackに通知する 【プラグイン不要】

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【解説】これでわかった REDMINEの負荷山積み!

AIサマリー:
この記事では、Redmineの負荷管理機能について説明しています。負荷山積みはチケットの作業量を担当者に割り当て、負荷を事前に判断する方法で、負荷山崩しは過剰な負荷を調整する方法です。Redmineでは、チケット数と予定工数で負荷を把握し、視覚的に確認できる機能が標準版およびLychee Redmineにあります。負荷管理の際は、チケットの担当者変更やチケット分割に注意が必要です。

プロジェクトで実行しようとしている作業(チケット)の作業量を、予定されている各担当者に割当てることで、負荷の状況を事前に判断することを、負荷山積みと呼びます。また、その負荷に偏りがある場合や、過大なものが存在する場合に、負荷を別の担当者に割り当てるなどをして、超過時間の発生を事前防ぐことを負荷山崩しと呼びます。

ここでは、REDMINEがもつ負荷山積みの機能とその使用上の留意点などを解説します。

REDMINEでの負荷の考え方

REDMINEでの負荷は、チケット数と予定工数の二通りで捉えることができます。

チケット数

担当者ごとのチケット数を担当者に集約します。担当者ごとに割当られているチケット(作業)数が確認できますので、チケット数が多い担当者は作業が集中していると考えられます。当然のことですが、ここでは各チケットの負荷が、ほぼ似たようなものであること(例えば、1週間分の仕事、など)が前提となります。

予定工数単位

チケットの予定工数に入力された時間を利用します。時間はチケットの担当者に割り当てられ、担当者ごとに集約された時間が山積み結果ということになります。上述のチケット数の場合と異なり、チケットの粒度にばらつきがあっても、負荷の把握方法としては問題がなく、チケットの合計予定工数が大きい場合は担当者の負荷は高いということになります。

REDMINEの負荷山積み

次に、REDMINEの種類による、山積み機能の違いを見てみましょう。

標準RDEMINE

チケット一覧のオプションで、グループ条件に担当者を指定、予定工数、作業時間の合計表示を設定すると容易に確認ができます。

REDMINEのバージョン4.1(最新バージョン)では担当者別のチケット数をグラフ化して表示する機能が追加されています。プロジェクトの「概要」画面→「サマリー」からさらに虫眼鏡のアイコンをクリックすると表示されます。

Lychee Redmine

標準REDMINEの機能に加えて、Lychee Redmineではより視覚的に負荷を確認する機能が提供されています。

Lycheeガントチャートの「工数見える化機能」では、ガントチャート上で担当者ごとに日別の予定工数を表示することができます。

チケットの予定工数は開始日~期日の間に按分されます。担当者が複数のチケットを担当している場合はそれらのチケットの予定工数が合算して表示されます。担当者ごとに1日の作業時間のしきい値を設定することができ、しきい値を下回っている場合は青色、上回っている場合は赤色に表示され視覚的に分かりやすくなっています。

ガントチャート上で、期日、担当者を変更すると、即時にガントチャート上の担当者ごと予定工数に反映されるため大変便利です。これは、冒頭に記述した負荷山崩しの機能に相当すると言えるでしょう。

「リソースマネジメント」プラグインでは、担当者ごとに日々の予定工数と合わせて、実績時間も表示することができることが特徴です。

負荷山積みの注意点

個別のチケットの負荷が担当者に対して集約されると書きました。しかし、REDMINEのチケットにはワークフローがあり、ステイタスを変更する際に、担当者も変更することができます。そうなると、チケットはAさん、Bさんなど複数の人が担当するになります。その場合、その予定工数は、Aさん、Bさんのどちらの山積みグラフに現れるのでしょう。

REDMINEでは、チケットに対して担当者という属性が一つだけあり、負荷は、山積みを行う時点のその属性値である担当者に対して常に集約されます。例として、リーダーの承認を得るために作業完了後にチケットの担当者をリーダーに変更した場合、その時点で予定工数のすべてがリーダーに積まれることになります。承認者が承認行為を行わずチケットを長く放置する可能性がある場合などは注意が必要です。

もし、チケットの主担当と呼べる人が2名いて、前半の担当者と後半の担当者に分かれるような場合には、それらの作業をひとつのチケットとしておくことは、負荷の適正な判断と言う観点からは望ましくありません。その場合は、それらを前半タスク、後半タスクとして分離して2個のチケットを作成し、前後関係等によって結び付けるべきです。

担当者ごとの負荷のトレンドを分析する目的では、山積み機能ではなく、実績作業時間をもとに判断するべきです。

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【事例】 ソフトウェア開発とREDMINE

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この記事では、シナジー研究所がソフトウェア開発プロジェクトでRedmineを活用する事例を紹介しています。特に、反復型開発スタイルでの利用方法が詳細に説明されています。Redmineのガントチャート機能とバージョン管理機能を用いることで、タスク管理と進捗状況の可視化を実現し、開発プロセスの効率化と透明性の向上が図られています。これにより、開発チーム全体のコミュニケーションが円滑になり、プロジェクトの成功に寄与しています。

ソフトウェア開発はREDMINEが従来から使われてきた適用分野です。

VisiWorkの運営会社であるシナジー研究所は、コンサルティングからシステム開発までを行う会社であり、お客様から受注したシステム開発案件を管理するためにREDMINE(Lychee Redmine)を使用しています。

シナジー研究所の開発案件では通常、反復型開発のスタイルが採用され、3から場合によっては2か月という比較的短い個別契約を反復して同一の開発案件を遂行することがあります。その個別契約の期間においては、はじめにお客様と概略の目標を設定し、毎月の月例会で進捗と結果を確認し、次期の目標について話し合うという過程を繰り返します。そこで、プロジェクト管理の手段として使用されるのがREDMINEです。

この記事では、シナジー研究所でどのようにソフトウェアプロジェクトの管理にREDMINEを使用しているかについて書いてみることにします。

ガントチャート

シナジー研究所では、REDMINEをプロジェクト管理に使用していると書きましたが、上述のようなプロセスをお客様と共有していますので、REDMINEはプロジェクト管理というよりは、コミュニケーション・ツールあるいはプロセス可視化ツールとして使用されていると言う方が適切かもしれません。

コミュニケーションや可視化と言えば、なんといっても一番わかりやすいアウトプットは、ガントチャートでしょう。実際の案件ではありませんが、VisiWorkサービスで用意しているサンプルプロジェクトのガントチャートを以下に示します。

これはいわゆるウォータフォール型と呼ばれるプロジェクトスケジュールを表していますが、先述のような反復型開発、あるいはいわゆるアジャイル開発のような、同一のプロダクト(製品)が反復して、あるいは変化しながら進化していく開発プロセスにおいては一工夫が必要で、そのためにバージョンという仕組みを使います。

バージョンとは、特定の期日までに完了させなければならないチケットをまとめて管理するためのものです。これにより、あるバージョンに属するチケットを一括して検索することができます。また、REDMINEでは、ロードマップ機能を使うことで、簡単にバージョン別の進捗状況を知ることができます。

前図のガントチャートに対して、11月リリース、12月リリースなどのバージョンを設定し、各タスクをこれらのバージョンに紐づけてみたのが、次の図になります。シナジー研究所の反復型開発では、このバージョンが1か月単位になりますが、アジャイル開発と言われるより反復期間の短い開発プロセスでは、このバージョンがより短く、たとえば1週間などになるでしょう。

シナジー研究所におけるバージョン機能の使い方としては、将来にわたっての開発計画をこのバージョン単位に一か月ごとに作って、事前に負荷山積み等で平準化を図る一方で、前月に未達成となった開発残項目をバージョンによって一括検索し、当月あるいはさらに未来のバージョンに割り振ることで、開発計画を達成するようにしています。

バージョン機能の使い方を先に説明しましたが、バージョン以外にもREDMINEは、各種の設定を行うことで使える機能がいろいろとあります。以下では、シナジー研究所の反復型開発において使われてきた設定のいくつかをご紹介します。

プロジェクト

全体の工数を把握するため「マスタースケジュール」を親プロジェクトとして作成し、改善作業を行う「リファクタ作業」、インフラ関連のタスクを登録する「インフラ作業」、マニュアルや仕様書のタスクを登録する「ドキュメント作成」を子プロジェクトに作成しています。この親子関係を図示すると以下のようになります。

随時発生する、お客様からの仕様確認や依頼を「質問箱」プロジェクトで、また、お客様環境で発生した不具合を「障害管理」プロジェクトで管理しています。

これは、記事「【TIPS】後悔しないプロジェクト構成」の表で説明したDのケースに相当します。

トラッカーとワークフロー

上記のマスタースケジュール以下のプロジェクトで利用している、トラッカー(作業種別)とワークフローをご紹介します。トラッカー、ワークフロー、ともにREDMINEの管理画面で設定する設定項目です。

トラッカーとしては、機能、バグ、作業の3種類を設定しています。チケットは親子の2階層とし、親チケットが子チケットを束ねる形をとっています。機能とバグは、親チケット用のトラッカー、作業は、子チケット専用で、機能とバグで共通に使われます。

冒頭で説明したお客様と合意した目標に対して、「機能」トラッカーの親チケットを作成し、その配下に、「作業」トラッカーの子チケットを登録します。

「バグ」トラッカーのチケットには、結合テスト以降に発生したバグを登録し、その配下に関連する「作業」トラッカーの子チケットを登録します。

親チケットとチケットではワークフローを変えています。「機能」トラッカーでは、機能全体の状況とリリースまでを把握するステータス設定とし、「作業」では担当者が作業ごとにより細かいステータスを入力できるようにしています。

このような2階層とするメリットは、マネージャー、リーダーが親チケットで機能全体の進捗を把握できる点です。REDMINDEでは、子チケットが全て完了するまで親チケットを完了させることができないのですが、その制約によって、子チケットの作業漏れを防ぐことができます。

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トピック 事例

【事例】「定額給付金支給をREDMINEで」というアイデア

AIサマリー:
この記事では、特別定額給付金の支給プロセスをRedmineを使って管理するアイデアについて紹介しています。シナジー研究所が関東圏の地方自治体と意見交換を行い、住民基本台帳を元にRedmineでワークフローを構築し、迅速な給付金支給を実現する方法を検討しました。意見交換では、マイナンバーカードとのデータ突合や、情報リテラシーの差異への対応などの課題も浮き彫りになりました。

国民一人10万円の特別定額給付金の支給が始まり、給付が迅速に行われないという問題が発生しました。新型コロナ感染症については現時点で終息の気配はなく、今後、同様な事態が発生したときに同じ状況に陥らないという保証はありません。

給付金支給に限らず、なんらかの行政サービスが突発的に必要となった場合、そのために必要なITシステムを一から開発したのでは迅速なサービスを行うことはできません。

良く知られているように、ITシステムの開発には、要件定義、設計、開発、テストなど、きちんとした品質を実現するためのいくつかの工程が存在し、すべての工程を通過させるのに1年以上の期間が必要になることは珍しくありません。

このような時に、タスク管理ツール、特にREDMINEは、非常に有効なツールであると私たちは考えています。行政サービスの実施は多くの場合ワークフローを伴うと考えられますが、REDMINEはタスク管理ツールの中でも、ワークフロー機能を有するツールです。

REDMINEは非常に柔軟で、ワークフロー機能もある種の汎用性を持っていますから、個別業務に特化した専用ツールと比べて多少の不効率は避けられないかもしれません。しかし、そこを受容できるのであれば、突発的な行政サービスの迅速な立ち上げと実施において、大きな効率性をもたらすはずです。

以上のように考えた私たちは、本年夏に、関東圏のある地方自治体の有志と意見交換を行いました。この記事では、その意見交換のあらましと、私たちの得た感触について書いてみます。

私たちの提案(仮説)

私たちの提案とは、下図のようなものです。

住民に対する給付金支給においては、まず住民基本台帳が入力となるでしょう。その世帯主一人一人について確認してはがきを送付。受領したはがきに対して銀行口座を付与して振込データを作成すれば、給付金支給が可能と考えました。アイデアとは、この行政サービスをワークフローとして実現するためのツールとしてタスク管理ツール、つまりREDMINEを使ってはどうかということです。

意見交換を行った時期は、定額給付金支給の山が越してホッと一息というタイミングであったと思いますが、実際の流れとこの図は大きくずれてはいないようでした。

ディスカッション

いつくかフィードバックを得ました。

住民基本台帳からの流れとは別に、国が主導するマイナンバーカードを利用したピッタリサービスからの流れがもう一つあるとのこと。実は後者の方のデータの突合せで苦労をされたようです。特別定額給付金の支給にREDMINEをという我々のアイデアは、上記二つの流れがうまくサポートできれば実現可能性がありそうです。

また、さまざまな情報リテラシーの人をどうサポートするかということも課題となることがわかりました。確かに、REDMINEは汎用的が高く柔軟という意味で適用性は高いと思われますが、反面、専用に開発された行政システムと比べれば痒い所に手が届く、というわけには行きません。

それでも、私たちとしては、80:20の法則と言われるように、限られた手段で大方の流れをカバーすることができれば、残りは個別の対応を考えることが全体的な最適性につながると思うのですが、システム化で救済されない部分が残る提案を採用することは難しいだろうという意見をいただきました。「一割の例外を重要視する」という意見が印象的で、地方自治体サービスを実装する難しさはそのあたりにあるという認識を得ました。

今回は、定額給付金支給という行政サービスにREDMINEを利用するアイデアをディスカッションするのが目的でしたが、特定の行政サービスをサポートする代わりに、行政全体における業務の可視化に可能性があるのではという意見もいただきました。現状では、業務全体が可視化されておらず、したがって、正確な業務量の把握や、人員配置が適正であるかの評価が難しい状況にあるとのこと。行政全体の業務可視化というREDMINE、つまりタスク管理の使いみちが示唆されたことは今回の意見交換の大きな収穫となりました。

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トピック 質問

【質問】 外注先と社内はREDMINEでつなげるべきでしょうか?

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この記事では、Redmineを外注先と社内でつなげるべきかについて検討しています。外注先とのタスク情報共有は、業務の可視化や生産性向上に役立つ一方で、契約タイプ(請負契約や準委任契約)によっては情報の透過性が問題となる可能性があります。特に信頼関係のある長期取引の場合、タスク管理の共有は大きな効果をもたらしますが、適切なアクセス管理と権限管理が必要です。

この質問は、ソフトウェア・パッケージ開発会社さんでVisiWorkサービスの説明を行ったときにいただきました。そちらの会社では、社内の開発でタスク管理を行っているのですが、その範囲を外注先まで拡大すべきかというご質問です。現在、さまざまなクラウドベースのタスク管理システムが利用可能であるため、その利用範囲を社外に広げることは技術的にはなんら難しいことではありません。ですから、技術やコストを気にしてのご質問でないことはすぐにわかります。そうすることがタスク管理、プロジェクト管理の在り方として望ましいかということです。以下では、その時に、私たちがどう考えて、どう答えたかについて書いてみたいと思います。

外注先とつなげるということ

外注先と社内をつなげるということは、一つのタスク管理システムを外注先と社内が共有して使うということです。各種の権限設定によって、ユーザーとユーザーがアクセスできる情報について制御することが可能ですが、基本的には、プロジェクトのタスク情報全体を両者が共有するということになります。

そうなると、外注先か社内かという境界を越えて業務全体が可視化されることになります。記事「【解説】 REDMINEとエクセルを使ったプロジェクト管理の違い」で、ある書籍を引用して説明しましたが、業務の可視化が成功すると「見えれば気づく、気づけば動く、動けば変化する」の状況が生まれます。そして、業務の改善、生産性の向上、組織の変革が促されるという効果が生み出されます。

そうした状況の中に、外注先と社内という契約上の国境線が存在するとどういうことになるでしょうか。まず考慮する必要があるのは、外注先との契約タイプです。

契約タイプとの関係

ソフトウェア開発に限りませんが、業務委託契約には、大きく二つの契約タイプ、請負契約と準委任契約があります。請負契約では、初めに発注仕様書があり、その仕様書通りに開発するという契約書があり、そのことを確認する検収があって、支払となります。この初めと終わりの間には一定の期間(数か月~数年)があり、その期間内ではある程度情報が隠蔽されるという特徴があります。隠蔽というと聞こえが悪いですが、いったん契約が成立したら一定期間は受注側で開発に集中してもらう必要がありますから、情報の透過性が高すぎることは請負契約において望ましくないと言えます。

準委任契約の場合は、成果物ではなく業務上の行為に対して報酬が支払われるので、双方の合意があれば、仕様や納期(作業が完了する日)を柔軟に調整することができます。その意味で、業務全体のタスク情報が共有されても問題ないかもしれません。しかし、ここは十分注意すべき点かと思います。タスク管理を共有するとタスク情報がリアルタイムで共有されます。それに対して、合意するという行為はリアルタイムではできません。そのギャップが問題を生み出す可能性があります。

たとえば、社内の動き(つまり開発工程の上流)として、外注先に依頼している仕様を変更しなくてはならない流れが発生したとします。その状況はタスクとして可視化され外注先に共有されるかもしれません。その時、外注先はそうした動きを察知した時点で、リアルタイムに客先に対して状況を確認しなければならないのでしょか。もし、動きを察知したにもかかわらず、状況をあえて確認しなかったとすると、それを合意とみなされることはないでしょうか。月例合同会議のような席で、両者が課題を議論して合意するルールだったとすると、最大1か月間にわたり、双方の関係者が何らかのストレスを受けることになり、相互に不信感を持つ可能性もあるのではないでしょうか。

信頼関係が大切

では、準委任という柔軟な契約を行っているにもかかわらず、タスクを共有せずに柔軟なかじ取りをあきらめることが望ましいのでしょうか。それは残念なことです。タスク情報を共有すれば、外注先と社内という国境線を超えて、前述の「見えれば気づく、気づけば動く、動けば変化する」の状況が生み出せるかもしれないからです。それは、アジャイル開発あるいはコンカレント・エンジニアリングの実効性を高めることにもつながりそうです。

では、そのための条件は何かというと、それは「外注先と社内が、ある程度長い取引関係にあり、十分な信頼関係がある」ということになると思います。そうであれば、タスク管理の共有は、大きな可能性を持っています。

もちろん、異なる組織がタスク管理を共有するのですから、役割分担に応じた、適切なアクセス管理、権限管理が必要なことは言うまでもありませんが。

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トピック 質問

【質問】 現場ではタスク管理の導入に抵抗があるようです。どうすればよいでしょうか?

AIサマリー:
この記事では、現場でのタスク管理導入に対する抵抗に対処する方法について説明しています。抵抗の原因として、タスク管理が業務に適さない場合や、タスク概念が組織に馴染まない場合が挙げられます。解決策としては、リーダーシップを発揮し、小規模から始めることが推奨されています。また、タスク管理の利点や導入のメリットを正しく理解し、現場に適したアプローチを取ることが重要です。

タスク管理導入の現場でこの質問を受けることがあります。質問としていただかないまでも、タスク管理の導入に対する現場の抵抗に導入担当者が悩みを持っていると感じることがあります。

この記事では、そのような状況に対処する方法について書きます。

現場が覚える違和感とは

現場から抵抗は、タスク管理に対して感じる違和感がもとになっています。違和感を覚える状況はいくつかに分かれます。

タスク管理が向いていない業務に適用しようとしている

まずあるのは、実際にタスク管理が、その現場にはふさわしくないという状況です。例えば、非常に創造的な環境で行われる調査、研究、実験などの場合です。こうした業務においては、タスク管理を導入するコストに見合うメリットが存在しないかもしれません。

しかし多くの業務においてはそのようなことはなく、タスク管理によって予定を見極め、実績時間をとらえて予実を管理すること、あるいは業務を可視化することのメリットはあるはずです。

タスク管理の効果は期待できるが、タスク概念がなじまない

タスク管理の効果は期待できるが、タスク概念が組織になじまない状況が次に考えられます。タスクとは、REDMINEのチケットで言うならば、誰かが担当し、ある時点で初めて、またある時点で完了するもの、そして、前後関係を識別するような業務の塊です。そのようなタスクという塊に業務を落とし込む習慣がなければ、そのことに対して現場が抵抗を感じることはあり得ることです。

しかし、例えば、受注産業を例にとると、何らかの一連の仕事が、顧客からの注文に対して見積もられて、その結果、顧客から受注しています。そして、当然、その見積には根拠があるはずです。その根拠とは、どのような人がどれくらい働くか、そしてその人はいつ頃からその受注のために働くことができるのか、必要な資材はいつ到着するかなどの予測であるはずです。その予測に基づいて受注しているのですから、そのような予測が実現できる環境や条件を満足することが受注側の責任です。その予測ができないのであれば、実はその見積には根拠がなく、その受注の収益性には根拠がないことになります。しかし、無謀な受注でない限り、予測はあるはずであり、タスク化というタスク管理の前半は、その予測をあらかじめタスクに落とすだけのことです。

では、組織になじまないという問題に対して、どう対処すれば良いか。答えは単純で、「誰かがリーダーシップをとって始めるということ」です。部門全体や企業全体でタスク管理を始める場合であれば、そのリーダーシップは部門長や経営者が発揮するべきでしょう。

余談になりますが、筆者(依田)の個人的体験を少しばかり説明します。筆者は、建設業の一種であるエンジニアリング会社の出身ですが、そこでは、従業員一人一人が毎日終業時に自分が何のために何時間(30分単位)働いたかをタイムシートを記入していました。「何のために」の部分では単なる作業分類ではなく、担当している個別のプロジェクトを選択し、そのプロジェクトに対して何時間働いたかを記入します。この場合のプロジェクトはタスク管理でいうところのタスクにかなり近い粒度です。

実力のある技術者は、このプロジェクトをたくさん記入しますから、タイムシートを見るだけでそのことがわかります。人気投票のような面もありますから、実力のある技術者は多少の面倒臭さあっても、プロジェクトを記入することにほとんど抵抗はなく、むしろ誇らしかったのではないかと思います。このような文化をどうして築くことができたか。理由は単純です。誰も自分が入社したときにそのシステムが存在したから、そのようなやり方をごく自然に受け入れたのです。

ですから、タスク管理は、あまり心配せずに、責任のある方が一言「やる!」と宣言すれば、ことは滑り出すと思います。案ずるより産むが易し、です。当サイトの記事「【事例】 受注型製造業とREDMINE」で紹介しているのもそのようなケースです。

タスク管理を誤解している

最後の状況は、タスク管理が誤解されている、という状況です。

導入に当たり、タスク管理の概略について説明を受けると、いろいろと心配になるものです。現場の担当者の心配の例として、一番よくあるのは、「実績時間を付けるチケットがなければどうなるのだろう」というものでしょう。チケットが存在しなければ実績時間が記入できず、給与や支払いに影響するのだろうか、という心配です。

しかし、その心配は無用です。今後、当サイトの記事で取り上げますが、チケットがない場合であっても、作業分類ごとに実績時間を付けることができます。ですから、ある日にチケット作業を7時間行ったが、1時間は客先からの電話を受けて対応した時に、その1時間をチケット外の時間とし、合計8時間勤務とすることができます。

その他の心配としては、チケットを扱う手間に関する心配が良くあります。つまり、担当者にとっては、実績時間の入力に手間がかかるのではないか、管理者からすると、予定タスクをスケジュールとして入力する手間がかかるのではないか、などです。

これらの手間は確かにプラスアルファとして必要になるとは言えます。しかし、実績にしろ予定にしろ、たとえば、Lychee Redmineなどのプラグインを導入すれば、入力がマウスのドラグアンドドロップで済むような工夫が随所でされています。また、スケジュールを入力する手間ですが、タスク管理を導入しなければその時間が節約できるのでしょうか。そんなことはないはずです。実際には、管理者がエクセルで同じようなスケジュール表を目的別に複数作ったりしていないでしょうか。もしそうであれば、REDMINEに一度入力するだけで、さまざま角度からスケジュールを出力することができて、しかも、情報は完全に一元化されリアルタイムで共有されます。

導入に伴う新規の手間を心配するよりも、一回の手間で、他のすべての作業を省力化してしまうことを考えるべきでしょう。

対処方法のまとめ

この記事の目的は、冒頭の質問に答えることでしたので、どうすればよいかという質問に答えます。

  • タスク管理があきらかに向いていない状況であれば、導入を避ける
  • タスク管理はリーダーシップのもとに始める
  • ねらいは大きくともスモールスタートする

たとえ、経営者のリーダーシップのもとに始める場合でも、ロードマップは描きつつ、スモールスタートを行うことを推奨します。つまり、着眼大局着手小局です。

当サイトでは、VisiWorkサービスのメニューを紹介しています。手助けが必要であれば、ここに紹介しているサービスの起用を検討してください。スモールスタートを優先するのであれば、クイックセットアップサービスがあります。ロードマップ作りからしっかりとやるなら、コンサルティングで課題分析と解決策の検討(1~3か月)を行うことをご検討ください。

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トピック 解説

【解説】 REDMINEとエクセルを使ったプロジェクト管理の違い

AIサマリー:
この記事では、RedmineとExcelを用いたプロジェクト管理の違いについて解説しています。Excelは個別のデータ管理には便利ですが、データ共有やリアルタイム性に欠けるため、プロジェクト全体の可視化が難しいとされています。対照的に、Redmineはタスク管理やデータのリアルタイム共有が可能で、組織全体の効率化と変革を促進します。Redmineを使うことで、仕事の可視化が進み、コミュニケーションが活性化する利点が強調されています。

プロジェクト管理のためにエクセル(Excel)が使われていないというケースはめったにありません。それだけエクセルはプロジェクト管理ではポピュラーなツールです。プロジェクト管理システムが稼働していてその補助的なツールとしてエクセルが使われるケースもあれば、プロジェクト管理ツールとしてはエクセルだけ、というケースもあります。後者の方が圧倒的に多いというのが実態かもしれませんが、その問題はいろいろと指摘されています。

ここでは、そのエクセルだけに頼ったプロジェクト管理とREDMINEのような ツールを使った場合の違いについて書いてみたいと思います。

「エクセルによるプロジェクト管理」をググってみると

ちなみに、「エクセルによるプロジェクト管理」とグーグルで検索すると、1000万件以上の記事がヒットします。「パワーポイントによるプロジェクト管理」だと約170万件、「WBSによるプロジェクト管理」では約45万件、「ガントチャートによるプロジェクト管理」は約35万件ですから、その異常な(?)関心の高さがわかります。

さて、検索された記事を見てみると、「エクセルによるプロジェクト管理」の方法を淡々と説明している記事もありますが、「Excelから脱却する」、「脱却すべき」、 「限界」などの表現が多くみられ、やはり「エクセルによるプロジェクト管理」とは、「脱」するべきなにかであり、「脱」する方法への関心の高さが、前述の1000万件という数値に現れているのではないかと思います。

問題は何か

「エクセルによるプロジェクト管理」の問題は何か。ズバリ、データが共有されないことです。データが共有されない。そこにあるのは、ひとりよがりなデータがひっそりと狭い関係者の間で共有されている姿です。またそれは、決して真実がわからない世界でもあります。

例えば、プロマネが管理する外注先の工数データがあるとしましょう。それが彼のエクセルの中だけで管理されていたら、その用途はおそらく、プロマネが請求書のチェックを行うことや、上層部への報告書を書く、など狭い範囲に限られてしまうでしょう。

その代わりに、REDMINEデータベースの中に工数データがあれば、それはリアルタイムに関係者全員で共有されます。全員とはどこまでか。もし、いくつかの部門の全員、部門長、経営者までREDMINEのユーザーであれば、その範囲の全員でリアルタイムに共有されるのです。

仕事が可視化されるということ

REDMINEはタスク管理、プロジェクト管理のツールですから、そのデータが共有されるということは仕事が可視化されるということです。

「見えれば気づく、気づけば動く、動けば変化する」という言葉があります。仕事が可視化されて気づきが生まれれば変化する、つまり、組織が変化するということです。(この言葉に興味があれば、中央経済社「可視化経営―経営のコクピットを機能強化せよ」という本に説明があります)

エクセルに戻ります。繰り返しになりますが、その問題はデータが共有されないということです。「エクセルだってファイルサーバーがあれば共有できるじゃないか」という声が聞こえそうです。しかしそれは共有ではありません。なぜなら、リアルタイム性も一意性もないからです。一意性がない理由は、いくつでもエクセルファイルのコピーができる上に、そのバージョンの管理がえてして個人に任されてしまうからです。リアルタイム性と一意性がなければ真実がわからなくなり、誰も動きません。つまり、組織が変化しません。

仕事が可視化されて組織が変化するとはどういうことでしょう。難しいことではありません。職場で、食堂で、化粧室で、仕事についての会話が生まれます。なにげない会話の中で同僚、部下、上司からヒントや助言がもらえるようになり、改善や工夫が生まれるようになるのです。

別の言い方をすると、REDMINEはコミュニケーション・ツールであり、エクセルはそうではないということです。さらにカッコよく言わせていただくと、「REDMINEは言葉を生み、エクセルは生まない」ということでしょうか。

まとめ

ネットを調べると、エクセルによるプロジェクト管理の問題点やその改善策がたっぷりと読めます。それらは別途お読みいただくとして、この記事では、私たちが本質と考えていることを、少々思い入れをこめて、シンプルに書いてみました。

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