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【解説】部門横断的にタスクと時間をマネジメントする(REDMINEユースケース その1)

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これまで、VisiWorkの活動を通じて、多くの人々にオープンソースのプロジェクト管理ソフトウェアであるREDMINEを推奨してきました。その際の反応として多いのが、「もうREDMINE使ってますよ」というものです。ただお話を伺うと、そうしたユースケースの多くは、小さなグループで、いくつか特定のプロジェクトの管理に限定して適用しているというケースでした。

私たちは常日頃、そうした限定された適用範囲を拡大し、部門を超えて、つまり全社的に適用する場合のREDMINEの大きな可能性を感じています。その可能性を、この記事ではREDMINEユースケース その1「部門横断的にタスクと時間をマネジメントする」として紹介します。

このユースケースの全体像を描いたのが、下図です。

縦軸は従業員です。REDMINEはWEBシステムであり、設定次第で企業の外部からも利用が可能ですから、従業員には社員だけでなく、業務委託のメンバーなども含めることができます。

横軸は、部門です。このユースケースで特徴的なのは、部門として、企業の全部門が含まれていることです。例として、営業、プロジェクト部門(製造部門)、そして間接部門などがあります。上部には、プロジェクトの重要度に応じて、スケジュール管理や出来高管理など、必要な管理手法がそれぞれ独立に選択されています。

総務や、経理などの部門にもタスクがあります。これらのタスクは、顧客と直接に関係するようなタスクは少なく、むしろ社内のメンバーと密接にかかわるタスクが多いかもしれません。ポイントは、顧客とのかかわりが多いか少ないかにかかわりなく、全従業員の仕事がタスク化され、それらが一元的に可視化されるということです。

(図:ユースケース その1 「部門横断的にタスクと時間をマネジメントする」)

このREDMINEユースケース では、下図のような効果を得ることができます。

効果1: すべての業務をタスクで一元的に可視化

REDMINEを導入することで、すべての業務や作業は、タスクとして一元的に可視化されることになります。タスクの対象単位は、チケットと呼ばれます。いったんチケットとして表現された業務や作業は、他部門や、REDMINEによってオンライン接続されている遠隔地のメンバーによっても、リアルタイムに共有されることになります。

最小単位であるチケットには、REDMINEの標準的なタスク情報に加えて、導入する組織に固有の情報(属性)を加えることができますから、導入企業の業界固有の情報を表現することもできます。

標準的なチケット情報には、以下のようなものがあります:

  1. 予定開始日
  2. 予定終了日
  3. 実開始日
  4. 実終了日
  5. 進捗率
  6. 担当者
  7. 実績作業時間
  8. 説明
  9. 更新の履歴

これらのチケットは、階層を構成できますので、よりマクロなタスクをくみ上げることができます。

また、チケットには、それらの前後関係を与えることができますから、各担当者は、関係者が近くにいなくても、つまり、テレワークのような環境にあっても、自分のタスクの前提となるタスクの担当者が誰であり、またそれがどのような進捗状態であるかを把握することができます。

効果2: グローバル環境のテレワークを推進

REDMINEはテレワーク環境にあっても、タスクが持つ情報によって、作業者、担当者、あるいは経営者を支援することができます。

Lychee Redmineクラウドのような、すでにセットアップされたWEBサービスを使う場合、それを自社に適用するのはとても簡単で、1日から数日のリードタイムで利用準備が整います。もちろん、そのサービスを業務として使いこなすための準備は別途必要ですが、そのためには、VisiWorkサービスを活用することができます。

REDMINEには、作業の連携をより加速するために、プッシュ型のメール通知機能があり、それを使えば、タスクに生じた変化をそのタスクに関係するユーザーが直ちに知ることができます。 また、最近普及してきたSlackのようなチャットツールと連携させることもできます。Slackを使えば、完了していないチケットの状況をリアルタイムで同僚に問い合わせることや、作業の完了直後に後工程の担当者に作業完了を通知することで、特急品の納期を短縮するといったことが可能です。

上記のような特徴や機能により、REDMINEを使用すれば、テレワーク環境であっても、オンライン会議に多くの時間を取られること、また、対面コミュニケーションにストレスを感じるといった場面を極力回避しながら、テレワークを推進することができるのです。

また、REDMINEはWEBベースのシステムですので、在宅勤務のユーザーであっても、特別なアプリケーションのインストールは必要がありません。このことはテレワーク環境として最近注目されている分散型シェアオフィスの利用においても同様です。シェアオフィスにはいくつかの利用形態がありますが、固定IPアドレスと自社ルーターの設置が可能であれば、REDMINEからIPアドレス認証を行うことでセキュアなシステム運用を実現することができます。

さらに、グローバル環境でテレワークを行う際にもREDMINEは大きなアドバンテージがあります。それは、利用する画面のほとんどが、あらかじめ日本語を含む40以上の言語に対応していて、さらにその言語をユーザーごとに設定することが可能ということです。したがって、国際的な業務やプロジェクトで、言語の異なるメンバーが参加する場合であっても、問題なく利用することができます。

効果3: タスク・データの活用で生産性向上を支援

このユースケースでは、生産性向上のさまざまな手がかりを得ることが可能になります。タスクによって定義されるような個別業務の生産性改善のために、まずは実績作業時間を収集することが必要になります。REDMINEの有償版であるLychee Redmineを使用すれば、下図のような、マイクロソフト社のOutlookに近いユーザーインターフェースで実績時間を簡単に入力することができます。この実績時間は、チケットに対応する実績時間として入力しますが、チケットに対応しない実績時間として入力することもできます。

(図:Lychee Redmineタイムマネジメント)

以上のようにして入力した実績時間はチケットに与えられている情報と組み合わせて、以下のような、さまざま情報加工や分析手段に利用することができます。

  1. タスク生産性の改善
  2. 契約工数管理
  3. 全社的部門別工数把握
  4. BIツール連携
  5. タスク&タイム・ビッグデータ

ユースケースを実現する3つの手段

以下では、このユースケースを実現する3つの手段について説明します。

(図:ユースケースを実現する3つの手段)

REDMINE / Lychee Redmine

手段の一つ目は、何と言ってもREDMINEです。また、その有償版としてのLychee Redmineは、標準版だけでは手に入らない、便利で使いやすい機能性を提供してくれます。たとえば、前述のタイムマネジメントもその一つです。さらに、非常に操作性の優れたガントチャートや、豊かな情報モデルを実現するカスタムフィールドといった機能もあります。

また、これも前述したLychee Redmineクラウドサービスは、これも実績ある安定したクラウドサービスです。

VisiWork / Task Builder

Task BuilderはVisiWorkサービスが独自に開発した、タスク構築のためのツールです。

下図は、このTask Builderの概念を示したものです。Task Builderは文字通りタスクを構築(Build)するものです。REDMINEでは、投入されたタスク、つまりチケットが主役です。しかし、そのタスクはどのように投入すればよいのでしょう。そのプロセスは、後述するように段階に行うことがベストです。その段階的なチケットの投入を行うツールがTask Builderなのです。

組織では、様々な情報システムが存在するほか、担当者がエクセルなどのツールに個別に所有されている情報も重要な役割を果たしています。しかし、この個別のエクセル内の情報は、担当者やその担当者が属する部門でしか役に立たないことがほとんどです。これを、REDMINEに移行して、組織全体で役立つ情報に変換しなければなりません。

これは一足飛びにできることではなく、試行錯誤を伴いながら、段階的に進めるしかないプロセスであることがVisiWorkサービスの経験上、わかっています。この試行錯誤的かつ段階的な、タスクの投入を可能にするのがTask Builderです。Task Builderは、REDMINEのAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)技術を駆使して、ユーザーのエクセルからREDMINEに向けたチケット、及び、そのチケット間の前後関係の投入と、逆に、REDMINEからチケットを検索してエクセルにダウンロードすること、これらの双方向の動きをサポートすることで、試行錯誤的かつ段階的なタスクの構築を可能にするのです。

(Task Builderについては、こちらの記事もご覧ください)

(図:VisiWork / Task Builderの概念)

導入プロセス

このユースケースでは、導入プロセスとして以下のような4軸アプローチを採用します。4軸とは、

  1. 案件
  2. 事業
  3. 部門
  4. 管理手法

です。ここで紹介しているユースケースでは、REDMINEを全社に適用しようとします。しかし、すでに既存の業務やシステムが稼働している組織において、一度に全社的な導入を試みることは必ずしも得策ではありません。そのため、着眼大局・着手小局のアプローチをとります。

まず、組織に存在する多数のプロジェクト、からREDMINEに移行すべきプロジェクトを選定します。80:20の法則という言葉もあるように、2割の案件が8割の負荷を組織に与えているかもしれません。ですから、まずは、対象案件を絞って段階的に移行すればよいのです。

次に、事業軸です。事業とは、業界あるいは顧客層に対応していると言えるでしょう。業界あるいは顧客層が変わると案件の管理方法が変わります。例えば、請負型の業務がふさわしい業界と、よりサービス的な仕事のやり方がふさわしい業界などがあり、それ毎に、おそらくプロジェクト管理の手法も変わってくるでしょう。ですから、事業の特定に応じた適用を進めるのが得策です。

また、部門ですが、全社と言っても、例えば、製造業であれば、営業、設計、製造、サービスなどの部門があり、どの部門に適用するか、どの順番で適用するかで、REDMINEの機能の使い方も変わってきます。必要とされる順番で、システム操作などの研修内容を検討していく必要があります。

最後の、管理手法ですが、上述の通り、案件、事業、また部門の各軸で対象を絞っていくことで、適用すべき管理手法が変わってきます。これも導入計画において検討すべきことです。

以上の4軸アプローチを3次元+1次元で表現したのが下図です。

(図:4軸アプローチ)

まとめ

ここでは、私たちが提唱するREDMINEユースケース その1「部門横断的にタスクと時間をマネジメントする」を紹介しました。

この記事に関する質問やご意見がありましたら、当サイトお問い合わせページまでお寄せください。

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