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【質問】 REDMINEとBacklog、違いを教えてください(2021年1月27日改訂版)

AIサマリー:
この記事では、RedmineとBacklogの主な違いについて説明しています。Redmineはオープンソースのプロジェクト管理ツールで、カスタマイズ性が高く、複雑なプロジェクトの管理に適しています。一方、Backlogはシンプルで直感的なインターフェースを持ち、小規模から中規模のプロジェクトに向いています。Redmineはプラグインを使って機能を拡張でき、Backlogは既存の機能が充実しているため、迅速な導入が可能です。両者の違いを理解することで、プロジェクトの規模やニーズに応じた選択が可能になります。

REDMINEについて説明すると、「Backlog(バックログ)」とはどう違うのですか?」という質問を受けることがあります。

VisiWorkサービスではBacklogを取り扱っていませんが、WEB上の情報などにより、Backlogが使いやすいタスク管理ツールであることが想像できます。これから使うツールをBacklogにすべきかREDMINEにすべきか、悩んでいる人は多いと思われますので、ざっくりと、BacklogとREDMINEの違いを記事にしてみました。

実際の使用経験をもとにしていませんので、誤解や不適切な記述があるかもしれません。読者が気づかれた点がありましたら、VisiWorkお問い合わせページまでお寄せください。

比較表

BacklogとREDMINE について、WEB記事など公開されている情報をもとに作成した簡単な比較が下表です。

この比較表は、私たちの関心事が中心になっている可能性がありますが、印象としては、タスク管理の機能に大きな違いはないと思われます。ただし、REDMINEにBacklogと同等の使いやすさを期待するのであれば、オープンソースのRedmineのみよりは、VisiWorkでも推奨しているLychee Redmineを使用することが望ましいのではないかと思われます。ガントチャートの使いやすさやカンバン機能などの存在があるからです。

ワークフローやプロジェクト管理機能に顕著な違い

BacklogとREDMINEが異なるのは、上図のワークフロー以下の青く網掛けをした部分です。まずBacklogにはワークフローが無くREDMINEにはあります。ワークフローはタスク管理を行う上で不可欠ではありませんが、用途によっては是非とも欲しいところです。

当サイトのトピック記事「【事例】REDMINEを社内管理業務に使う」にも書いていますが、複数の担当者や管理者が連携してタスクを実行する必要がある場合は、ワークフローは不可欠です。しかし、例えば、見通しのきく範囲にある小規模なソフトウェア開発プロジェクトであれば、むしろリアルなコミュニケーションを介してワークフローを実現するほうが望ましいかもしれません。

さて、前表のワークフロー以下では、Lychee RedmineにありBacklogには無い項目が続きます。これらは、プロジェクトの反復性が高い場合に便利な機能や、本格的なプロジェクト管理の機能(例えばEVM:出来高管理)です。この辺りが充実していることが、VisiWorkサービスでLychee Redmineを多く利用している理由です。

タスク管理の範囲を超えて、 PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)で説明されるようなプロジェクトの管理手法まで視野に入るのであれば、最初からLychee Redmineを検討しても良いでしょう。Backlogがすでに稼働している場合でも、エキスポート機能を利用してRedmineに移行することは困難ではありません。

【2021-01-25 追記】

以下に、タスク、プロジェクト管理のコアとなる機能における、BacklogとREDMINEの違いを追記します。

プロジェクトの階層

Backlogはプロジェクトの階層化はできず、フラットな構成になります。ガントチャートはプロジェクトごとの表示になります。REDMINEはプロジェクトに親子関係を設定し階層化することが可能です。ガントチャートには、複数プロジェクトを、階層を保った状態で表示することができます。

上記から、Backlogのプロジェクトは、案件ごとに閉じた小規模なプロジェクトを数多く作成する場合に向いていると言えそうです。

REDMINEでも、プロジェクトをフラットに並べた構造で利用することが可能ですが、組織や事業の特徴を生かしてプロジェクトの構造を立体的に組めるところがREDMINEの面白さであるともいえます。この点については、「【TIPS】 後悔しないプロジェクト構成」も一読をお勧めします。

タスク管理の特徴

REDIMNEのチケットと同等の概念は、Backlogでは「課題」と呼ばれます。Backlogの「課題」、REDMINEの「チケット」はともに親子関係を設定することができます。Backlogは親子の2階層までですが、REDMINEでは無制限に階層を作ることができます。

製造業などで、大規模なWBS(ワークブレークダウンストラクチャ:仕事を階層的に表現したもの)を作成してからタスクに落とすといった場面では、REDMINEが活用できるのではないでしょうか。ただし、無制限に階層が作れるという機能は、チケットの乱造を招き、管理が複雑になるデメリットもあります。REDMINEを利用する場合はチケットの階層化のルールを決めておくことが望ましいです。

また、Backlogの「課題」の進捗はステータスのみで表わされますが、REDMINEの「チケット」ではステータスとは別の項目として、進捗率の項目が用意されています。

Backlogでは「処理中」のステータスで課題がどの程度進んでいるかは意識しません。課題が「完了」するまでは進捗は0とみなします。そのため、課題は数時間~1日で完了するレベルに細分化して登録することが理想とされます。

REDMINEはチケットに進捗率を登録できるため、Backlogに比べ作業期間の長いチケットも登録することができます。しかし、ユーザーごとに進捗率登録時にばらつきが出ないようにする工夫が必要になります。詳しくは「【解説】 これでわかった REDMINEの進捗率!」をお読みください。

以上簡単に、BacklogとREDMINEの違いについて説明しました。

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トピック 事例

【事例】 WEBサイト運営とREDMINE

AIサマリー:
この記事では、VisiWorkがRedmineを用いてWEBサイト運営業務を管理する方法について紹介しています。VisiWorkのWEBサイト運営は、システム管理とコンテンツ作成の2つの主要活動に分かれ、各活動に対して異なるRedmineプラグインを使用しています。これにより、効率的なタスク管理と進捗状況の可視化が実現し、関係者全員がリモートワークでも問題なく連携できます。

はじめに

この記事では、WEBサイト運営業務にREDMINEを適用した事例を紹介します。ここで取り上げるWEBサイトは読者がいまご覧になっているVisiWork(ビジワーク)サイトです。

このサイトは、今年(2020年)9月に骨組みが完成し、その後、10月には基本的なコンテンツの充実を図り、11月にはブログ記事を追加、さらにGoogle広告を使ってユーザーを誘導するといういわゆるデジタルマーケティングの基本的な仕組みも導入しました。

この記事では、当サイトの運営業務が、システム管理と記事コンテンツ作成という二種類の活動に分かれて行われていること、そしてそれぞれの活動に対して別個のREDMINEシステムが利用されていることを解説します。

WEBサイト運営業務

まず簡単に当サイトの運営体制について説明します。関わっているのは4名で、コンサルタント、アドバイザー、管理部門マネージャー、そしてWEBサイトの制作をお願いしている社外パートナー企業の担当者さん(以後、パートナーさんと呼びます)です。

上述の二つの活動とこの4名、および二つのREDMINEとの関係を図示すると以下のようになります。なお、図の下部に3つ目の活動として社内管理業務があります。これは、記事「【事例】 社内管理業務にREDMINEを使う」で説明した業務です。社外パートナーさんとの契約や請求支払いで関係するのでここに示しています。また、上記二つの活動にはそれぞれ週1回の会議体があり、それぞれシステム会議とコンテンツ会議を呼んでいます。

活動1:WEBサイト・システム管理

活動1のWEBサイト・システム管理では、前述の4名が毎週月曜日に打ち合わせを持ち、現在のWEBサイト・システムの状況を共有します。共有する内容は、現在のサイトへのアクセス数や、Google広告の評価、今後のサイトの改善・拡張計画、そして後述する記事コンテンツ作成の予定などです。

この活動で予定される主要なタスクは、Easy RedmineというREDMINEの有償プラグインシステムに入力されます。入力には前述の4名が関わりますが、主に操作をするのはパートナーさんで、作業予定としてのタスクを入力する一方で、予定されたタスクに対して実際に作業した実績時間も入力します。この実績時間の明細はREDMINEから出力されますので、パートナーさんはそれを請求明細として請求書に添付し、運営会社のシナジー研究所に提出します。そのあたりの業務の流れは、前述の記事に掲載していますので、ご参照ください。

パートナーさんが添付する請求明細の例を下図に示します。

この請求明細を見れば、作業実績時間が、システム会議の席で合意されたどのタスクに対応するものであるかがわかります。パートナーさんの合計請求時間はこの明細上の合計と一致するルールになっていますので、請求内容に関する齟齬が生じることがあり得ない仕組みとなっています。

なお、チケットに紐づかない時間を作業実績時間として入力は可能です。その場合は、予定されたタスク以外が発生したということが明示的にわかりますから、PDCAサイクルでそのような状況を回避するアクションをとることもできるようになっています。

パートナーさんが作成するREDMINEチケットには開始日と期日(終了予定日)が入力されるので、ガントチャートを出力することもできますが、期日(終了予定日)を厳密な納期と解釈することはしていません。パートナーさんとの契約は準委任契約(ソフト業界で言うところのSES契約)ですので、納期を保証する請負契約ではないからです。仮に請負契約とするのであれば、発注側には納期や品質を約束していただけるような厳密な発注仕様を提示する義務があります。しかし、そのような時間をかける代わりに、サイトへのアクセス数やユーザーからの質問や要望に従って、柔軟にサイトの変更することの方が重要です。そのため、チケットの期日(終了予定日)はあくまでも参考情報という扱いにして、実際の納期を確認したり、リアルタイムで状況を確認したりするためにはチャットツールのSlackを活用しています。

さて、後述する記事コンテンツ作成の活動では、別途有償プラグインであるLychee Redmineも使用しています。わざわざ異なるプラグインを使用する理由ですが、一つは、VisiWorkサービスを推進するにあたり、いくつか異なるプラグインの経験をもつことが必要だろうと判断したことがあり、もう一つは、パートナーさんがモバイルでの利用を希望され、かつEasy Redmineがモバイル系での使い勝手や見栄えが良かったからです。スマートフォンなどモバイル端末から見た実績時間の明細画面を以下に示します。

活動2:記事コンテンツ作成

次に活動2の記事コンテンツ作成について説明します。こちらはひたすら記事コンテンツを作成し充実させていく活動です。VisiWorkのWEBサイトでは、CMS(コンテンツマネジメントシステム)としてWordPressを使用しています。CMSを使えば、記事コンテンツ(ブログ)のマネジメントがシステム化されますので、記事コンテンツを登録、修正、削除するために、パートナーさんの手を煩わせる必要はありません。したがって、記事コンテンツ作成は、コンサルタント(緑色の楕円)とアドバイザー(オレンジ色の楕円)の2名だけで進めて行くことができます。

記事コンテンツ作成の活動で大変なのは、記事を書くことそのものです。つまり、何を書くか、どう書くかについてこの2名が頭を悩ませ、必要なら同じ記事の執筆について役割分担し連携することが必要です。今月(2020年12月)の記事コンテンツ執筆予定の一部のガントチャートを下図に示します。

参考までに記事コンテンツ執筆チケットのためのワークフローも下図に示します。

このワークフローでは特に新規、構想中などステイタスを更新する際の権限を厳しく管理していません。その結果、コンサルタントもアドバイザーも、お互いの、あるいは自身のチケットのステイタスを自由に更新することができます。綿密にコミュニケーションの取れる関係においてはその方が便利ですし問題が生じることはありません。

なお、記事がCMSの管理下にある場合、つまりブログである場合は、上記の通り、コンサルタントとアドバイザーの2名だけで記事作成から公開までを行うことができるのですが、ブログではないいわゆる固定ページについては、システム会議の議題として、その後、パートナーさんに制作と公開作業を依頼する流れになっています。

REDMINE間の連携

これまで述べたように、このWEBサイト構築業務では、二つのREDMINE、Easy RedmineとLychee Redmineを使用しています。読者としては、この二つの連携が気になるところかもしれませんが、現時点では、上述のCMSの恩恵もあり、特にこの二つのシステム間での連携は図られていません。記事コンテンツ作成(ブログ)と、パートナーさんのタスク(固定ページ実装など)が独立しているからです。

一方で、Easy Redmine側とLychee Redmine側の社内管理業務プロジェクトは連携があっても良いかもしれません。しかしながら、現状では、パートナーさんから捺印付きの請求書(PDFファイル)を毎月提出いただいている以上、そこで必ず情報の分断が発生しますので、現時点で連携の必要性は高くありません。テレワーク、リモートワークの普及を阻害する要因としても話題になることの多い捺印付き書類の廃止や契約の電子化など、各種ツールやガイドラインの制定が待たれる部分だと思います。

まとめ

以上、簡単に、VisiWorkサイトの運営業務とREDMINEの活用状況について解説しました。

最後にお伝えしたいのは、REDMINEというタスク管理ツールによって、関係者全員のタスクがリモートワークで問題なく連携するようにできたということです。現時点で、コンサルタントとアドバイザーは同一オフィス内で作業していますが、それすら今後必要なくなろうとしています。

オンラインのシステム会議のあと、結論は議事録を作成する必要もなく、Easy REDMINEのサイト運営プロジェクト内でチケット化され作業が進みます。そして、パートナーさんのその稼働実績は請求処理まで連携しています。一方で、記事コンテンツ作成側でも、記事作成の進行状況の全体をどこにいても知ることができるため、担当者がスピードアップしたり、あるいは、余裕時間を他メンバーのサポートに回したりすることができます。 VisiWorkサイトでは、リモートワーク、テレワークの実現のために、オンライン会議とチャットツールにタスク管理を加えることで、真の生産性を実現できると随所で説明しています。この記事はそのわかりやすい例の一つになっていると思います。

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トピック 質問

【質問】 REDMINEで顧客管理・案件管理はできますか?

AIサマリー:
この記事では、Redmineを使った顧客管理・案件管理の可能性について説明しています。Redmineのカスタムフィールドを利用して、顧客や案件の情報を管理する方法が提案されています。顧客情報をプロジェクトとして設定し、サブプロジェクトやチケットで詳細情報を管理することで、効率的な情報共有と手続きの標準化が可能です。ただし、詳細なマスター情報の管理には限界があり、外部機能の活用も検討されています。

先日、あるソフトウェアパッケージベンダーさんにVisiWorkサービスのご紹介をしたところ、後日、経営者の方から「REDMINEで顧客管理や案件管理ができますか」というご質問をいただきました。

この記事では、この問いかけに対する私たちの回答と、その後のお客様との議論についてご紹介したいと思います。

当初の提案とお客様の課題

お客様はソフトウェアの開発を行っている会社ですから、私たちはまずソフトウェア開発管理ツールとしてREDMINEをご紹介しました。しかしながら、プロジェクト管理のツールは別のツールをすでに導入されており、経営者の方としては、REDMINEが顧客管理や案件管理で使えそう、という感触を持たれたようでした。

実現したいことは、顧客とのコンタクトの履歴や案件のステイタスを管理して、社内の情報共有と手続きの標準化を進めることでした。現在これらはエクセル表を中心に管理されていて、このままでは効率性の追求と情報共有、どちらの面でも限界があるからです。

私たちとしては、顧客管理や案件管理にREDMINEを使うというアイデアは、十分にあり得るという感触をもちました。なぜならREDMINEにはカスタム・フィールドという機能があるからです。カスタム・フィールドを使用すれば、顧客管理・案件管理の専用ツールほどとはいかなくても、低コストでそれらに近い機能性を実現することができるはずです。

2回目の提案

そこで、次の打ち合わせでは、カスタム・フィールドを利用した顧客管理・案件管理のアイデアをお客様にご説明しました。(下図参照)

REDMINEは専用の顧客管理・案件管理ツールではありませんから、まず顧客(例えばA社)をプロジェクトとして表現します。プロジェクトは階層化できますから、さらにA社のX工場、Y工場、Z工場などをサブプロジェクトにします。

さらに、X工場、Y工場、Z工場などからの引き合い案件をチケットとして表現します。チケットもまた階層化できるので、各案件におけるコンタクト履歴をさらにチケット化します。チケットにはトラッカー(仕事の種類)別のワークフローをもたせることができます。チケットには、題名、説明など、かなりの情報を持たせることができますが、それでは顧客管理・案件管理には不十分ですから、そこでカスタム・フィールドを使用するわけです。

上図では、製品名や受領資料がこれに当たります。これらは複数の値を持つデータ、つまり集合型のデータとして設定することもできます。

ここで、1点、考えなければならないことがあります。それは顧客や製品のマスター情報をどう管理するかということです。マスター管理とは、顧客や製品に固有の情報を一か所で管理し情報の一意性を確保するとともに、登録されていない、つまり有効ではないキーや番号が入らないようにするという管理です。

結論から言いますと、上図の実現案では顧客情報の詳細情報はもてません。ただし、顧客自体はプロジェクトとして設定しますから、容易に追加削除されない安定的な情報にはなっていると言えます。では、製品情報はどうでしょうか。こちらについては、カスタム・フィールドの値の有効値を管理する機能がありますので、そこで値の有効性を保証するという疑似マスター管理が可能です。しかしながら、顧客と同様に、製品固有の詳細情報はもてません。

この案で良いかどうか、お客様には検討をお願いしています。私たちの考え方としては、顧客管理・案件管理の専用ツールには機能的に及びませんが、REDMINEの経済性を考慮に入れれば、検討していただけるアイデアではないかと考えています。

疑似的な製品マスターを実現するためにREDMINEを設定する画面が下図です。

有効な製品名を設定する
チケット画面で、有効な製品名を選択する

また、「顧客管理・案件管理」の実現案の図で、「受領資料」はリンク型の設定としています。REDMINEではチケットに対して各種のドキュメントを添付することが可能ですが、私たちは、ドキュメントの保存のためにはGoogleドライブのようなクラウドサービスを利用することをお勧めしています。その場合、リンク型でGoogleドライブのURLを参照すれば、ワンクリックで情報にアクセスできますし、REDMINEユーザーでなくても、権限さえあれば、情報にアクセスできることも便利な場合があります。

さらなる課題

以上のご提案は、簡易的な顧客管理・案件管理の実現として、現在、お客様にご検討いただいていますが、その後の打ち合わせでいくつかさらに検討すべき課題が出てきました。お客様はソフトウェアパッケージベンダーさんですが、クラウド製品をもっておられるために、トライアルユースや個人アカウントの管理など、パッケージ売り(いわゆるオンプレミス)とはことなる細かな管理が必要とされる点です。

これらの要件を満たす緻密な管理となると、タスク管理・プロジェクト管理を本来の機能とするREDMINEには実現が難しい部分があるかもしれません。しかし、なんらかの外部機能を別途開発する、あるいは他のアプリケーションと連携することで低コストの顧客管理・案件管理が実現できるかもしれません。いくつかの可能性を引き続き、お客様と検討していくことになりそうです。

この記事では、REDMINEによる顧客管理・案件管理の実現可能性と制約を知っていただくために具体的な案件をご紹介しました。

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トピック 事例

【事例】 受注型製造業とREDMINE

AIサマリー:
この記事では、受注型製造業である高砂工業株式会社がRedmineを活用して業務可視化を実現した事例を紹介しています。設計部門でのタスク管理を段階的に導入し、効率化と透明性を向上させました。トヨタ生産方式の可視化手法を上流の設計分野にも適用し、工数管理やEVM(出来高管理)など高度な管理手法も導入しています。

この記事では、岐阜県土岐市の熱処理設備メーカー、高砂工業株式会社様における導入事例を紹介しています。日経新聞社主催シンポジウムにおけるプレゼンテーション資料でも解説しています。(2021年9月6日追記)

はじめに

この記事では、製造業におけるREDMINEの活用実績例について説明します。この事例はREDMINEが使われることの多いソフトウェア開発とはかけ離れた分野で、REDMINEが有効であることの証明となるものです。

業務可視化という目標

お客様がREDMINEの活用に求めたものは業務可視化の効果でした。このお客様では製造現場においてトヨタ生産方式の導入を済ませていて、かなりの可視化あるいはトヨタ生産方式における「目で見る管理」や整理整頓などの活動が定着しつつありました。しかし、その上流である設計分野は依然として課題がありました。それは誰がどのような業務(タスク)にどれだけ時間を使っているかが、設計部門はほぼ全員がデスクに向かう仕事であるだけに、わかりづらいという課題でした。可視化が進まなければ、問題の洗い出し、改善策の検討が進めづらいからです。

そんな時、シナジー研究所の依田が経営者の方と出会いました。その出会いから1年ほどの時間をかけて、いくつかの課題の優先順位を話し合い、まずはREDMINEによる業務可視化に取り組むこととなりました。したがって、当初から目標は、特定の受注案件に限らず設計部門を通過する全受注案件にREDMINEを適用する、すなわち部門全体にタスク管理を導入するというものでした。

段階的導入プロセス

このタスク管理導入プロジェクトはいまでも展開を続けていますが、シナジー研究所が支援したのは、2019年12月から約10か月あまりです。(下表参照)

最初のフェーズ0では、シナジー研究所とお客様の間で方向づけと意識合わせを行い、この図にあるようなフェーズ0からフェーズ3に至る大まかなプロジェクトスケジュールを決定しました。

ポイントは、3つの次元での段階的拡張を目指したことです。3つの次元とは、事業、管理手法、案件(プロジェクト)です。

  1. 【事業】 設計部門がかかわる二つの事業に対し、それぞれの製品特性や繁忙などに配慮しながら部門包括的にタスク管理を導入する。異なる事業に対して、同じ手法や同時進行を求めない。
  2. 【管理手法】 ガントチャートに代表されるようなスケジューリング管理をまず導入し、その後、工数管理を導入し、さらに効果を確認しながら、より高度な管理手法であるEVM(出来高管理)の導入を視野に入れていく。
  3. 【案件(プロジェクト)】 適用する受注案件は段階的に増やし、最終的には全受注案件をタスク管理の対象とする。

以上の3つの次元での段階的模索のプロセスが上表であると言えます。

以上のプロセスの中で、議論と試行錯誤を重ねたテーマには以下のようなものがありました。

  1. ワークフローをどのように定義するか
  2. 使いやすさや進捗管理の効果を実現するためにチケットの構造をどう定めるか
  3. システム(REDMINE)から提供されるデータをどのように活用するか

などです。これらは、こちらのお客様に固有というよりは普遍性の高いテーマであり共通的な解決手法があり得るものです。この導入プロジェクトでは、それらをシナジー研究所から紹介し、いくつか異なるアプローチをお客様にトライしていただきながら段階的に標準的な考え方を決めていきました。(共通的な解決法は、当サイトにて【TIPS】記事として紹介しています)

高度利用と利用拡大へ

前表のフェーズ2の終わり、2020年6月には、ほぼ全受注案件への導入が完了し、7月からはより高度な手法であるEVM(出来高管理)に取り組むことになりました。EVMは、REDMINEに登録された予定工数、進捗、そして実績工数をもとに、いくつかの指標を計算することで、スケジュールとコストの状態を独立に評価しさまざま気づきを得る手法です。導入プロセスの前半で、予定工数、進捗、実績工数を正確にまめに入力する体制をつくれたことが、EVMの導入につながりました。

(当サイトではEVM(出来高管理)について詳しく紹介していますから参考にしてください)

現時点(2020年12月)において、設計業務に関わる全員、約100名規模のユーザーがREDMINEを利用して、引き続き、業務の効率化と可視化に取り組んでおられます。

参考情報

このタスク管理導入プロジェクトでは、アジャイルウェア社のLychee REDMINEを利用しました。

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トピック 事例

【事例】 シナジー研究所におけるREDMINEの用途

AIサマリー:
この記事では、シナジー研究所がRedmineをどのように利用しているかについて説明しています。シナジー研究所は、VisiWork事業の一環として、社内のツール開発やマーケティング、社内管理業務でRedmineを活用しています。さらに、RedmineとSlack、GoogleDriveを組み合わせることで、情報共有の効率化とリアルタイム性の向上を図っています。オンライン会議ツールも併用し、リモートワークでの効果的なプロジェクト管理を実現しています。

この記事では、シナジー研究所(以下、シナジー)におけるREDMINEの利用目的について説明します。シナジーは現在VisiWork事業に注力しようとしていますので、シナジーにおける利用目的とはそのままVisiWorkのための利用目的ということになります。

利用目的はまず社内利用とお客様向けのサポートの二つに分かれることになります。社内利用とは、シナジーのメンバーだけが利用するということで、現在、VisiWorkのためのツール開発、マーケティング活動、社内管理業務の3つがあり、それぞれで異なるREDMINEをインストールして利用しています(表参照)。

プラグインの利用について

表中で、主な有償プラグインとあるカラムは、使用中の使用料が発生するプラグイン(有償プラグイン)を示しています。(Open)とあるのは、有償プラグインを使用していない、つまりオープンの範囲での使用、あるいは無償プラグインのみの追加であることを示しています。

Easy RedmineやLychee Redmineは、有償プラグインです。特に、アジャイルウェア社が提供するLychee Redmineを利用するケースが多くなっています。これは、日本の現場に向けた痒い所に手が届く作り込みになっているためで、シナジーのお客様からも社内利用のメンバーからも評価が高いです。

REDMINEと併用するツール、WEBサービス

表にはREDMINE以外のツールやWEBサービスの利用状況も記載しました。どのケースでもメールを利用するのは当たり前として、社内利用とお客様サポートで二つのパターンがあります。

コロナ禍で一気に利用が加速しているオンライン会議のためのツール、ZOOMやSkype、それらを使ったオンライン会議における画面共有などは、シナジーでもこのパターンに関係なく共通に利用されています。社内利用の場合は、チャットツールであるSlackを併用しています。

SlackとREDMINEの組み合わせは利用価値があります。REDMINEはWEBアプリケーションであり、入力された情報はリアルタイムで共有されますが、情報提供はどちらかと言えばシステム側が受け身であるのに対して、Slackはチャットツールですから通知機能などに優れその情報提供はリアルタイム性が高いものとなっています。入力された情報をプッシュする機能はREDMINEにもあるので、Slackは主に、入力前の世界、つまり、入力を促すこと、入力方法、使用方法、入力の適否を尋ねること、などに使用しています。この併用により、REDMINEというリアルタイム性の高い情報共有手段を遅滞なく適切に利用することができるという相乗効果が生まれています。

シナジーでもうひとつ高い相乗効果を発揮しているツールがGoogleDriveです。このツールがあるために、REDMINEはプロジェクト、ワークフロー、などを管理するツールの枠を超えて、汎用業務ソフトに近い機能持つことが可能になります。例えば、請求書の処理をするワークフローを組み、その受取から支払いまでの着実なワークフローを管理すると同時に、スキャンした請求書をGoogleDriveに保存します。そして、その請求書のURLをREDMINEのカスタムフィールドとして定義すれば、ワンクリックでいつでもその請求書を参照することができます。このあたりは今後、OCRやRPAとの連携により、一層利便性の高いものとなっていくでしょう。そうなるとREDMINEがあれば、特別な業務ソフトを導入する必要がない世界が始まるかもしれません。また、SlackにGoogleDriveへのアクセスを許可すれば、Slack側からもそこに保存されたファイルを参照することができます。このようなGoogleDriveの使い方は、当然ながらGmailとの相性も良く、メール上にURLを記載するだけで、メール上に保存ファイルの内容が表示されます。

以上が社内での利用方法ですが、お客様サポートのケースでは、社外ということでオンライン会議が多く利用されます。お客様のプロジェクトをサポートする際には、REDMINEのガントチャートやEVM(出来高管理)のグラフなどを直接オンライン会議の画面共有によって表示し、議論や意思決定を行っています。また、ソフトウェア開発管理のプロジェクトでは、業務そのものがデジタル環境との相性が良いため、様々なツールが追加で利用されています。

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トピック 解説

【解説】 REDMINEとはなにか

AIサマリー:
この記事では、Redmineがプロジェクト管理のためのオープンソースソフトウェアであることを説明しています。Redmineの歴史的背景、利用比率の高いソフトウェア開発業界以外の分野への展開方法、ユーザー環境での展開、追加機能やプラグインの利用方法、コンサルティングやサポートサービスについて詳述しています。VisiWorkは、これらの導入やオペレーション支援を提供し、リーズナブルな価格でのコンサルティングも行っています。

REDMINEとはなにか

REDMINEはプロジェクト管理のためのオープンソースソフトウェアです。REDMINEの歴史的な経緯もありソフトウェア開発業界における利用比率が最も高いのですが、現在はそれ以外の、例えば製造分野などでもかなりのユーザーが利用しています。

REDMINEを導入しようとするユーザーは、REDMINEを自らの利用環境に展開して利用することになります。利用環境としては、社内のコンピュータを利用しても良いし、現在普及しつつあるAWS(Amazon Web Service)のようなクラウド環境を利用することもできます。

すべてをユーザー自身の力でオープンソースソフトウェアのREDMINE(標準のREDMINE)を使用する限り使用料は必要ありません。しかし、実際には標準のREDMINEでは機能が足りない場合もあり、追加でプラグインを利用する、あるいは関連システムとのインターフェースを開発する、などが必要となる場合もあります。その場合、プラグインが有償であればそのコストがかかり、また、インターフェースの開発では外注費などが必要になる場合もあります。

さらに、導入におけるアドバイスをコンサルタントに求める、あるいはオペレーションを外部委託するなどすると、その分の費用も必要になります。

このサイトで紹介しているVisiWorkは、以上のような導入やオペレーションに関わる支援やコンサルティングを、単一窓口によりリーズナブルな価格で提供するものです。また、パートナーであるアジャイルウェア社のLychee Redmineのような優れた有償プラグインを提供することも可能です。

REDMINEの機能とは

REDMINEのマネジメント機能は、次の4つです

  1. プロジェクト・マネジメント
  2. ワークフロー・マネジメント
  3. タスク(作業)・マネジメント
  4. タイム・マネジメント

タスクは、REDMINEではチケットと呼ばれていて、それがこれら4つの機能を橋渡しする基本的な作業情報の単位となります。
このタスク周辺の機能が非常に柔軟であるために、プロジェクトやワークフローという視点でも、専用ツールと比較して柔軟で現場に即した使い方ができることになっています。

プロジェクト・マネジメント

プロジェクト・マネジメントの機能を使えば、REDMINEの基本的な作業単位であるタスク(チケット)を、プロジェクトという視点から活用することができます。

たとえば、ガントチャートによって、プロジェクト全体のスケジュールや進捗状況を可視化することができます。また、担当者の負荷状況を把握して、担当者の割り当てを変更することもできます。さらに、前述のLychee RedmineのEVM(Earned Value Management:出来高管理)機能を使えば、EVMという本格的なプロジェクト管理手法を使うこともできます。

ワークフロー・マネジメント

ワークフロー、つまり仕事の流れをマネジメントすることができます。作業単位であるタスク(チケット)には、例えば、「新規」、「作業中」、「承認待ち」、「完了」のような状態(ステイタス)を持たせることができ、あらかじめ権限が与えられたユーザーだけがその状態を変更することができます。

ワークフロー・マネジメントは、通常、定型的な業務を対象とするのですが、REDMINEでは、タスクをプロジェクト管理と共通に利用するため、プロジェクト業務もワークフローの視点で管理することができる一方で、定型業務の管理も同じ枠組みの中で問題なく行うことができます。

タスク・マネジメント

上述の通り、REDMINEではタスク(チケット)が基本的な仕事の単位となりますから、あらゆる業務が、タスクによって一元管理されることになります。そのため、例えばそれぞれの担当者がもつすべてのタスクを簡単に把握することができます。さらに状態(ステイタス)を検索条件に加えれば、すでに完了したタスクを除外して、作業中のタスクだけに絞って検索することもできます。

また、REDMINEにはカスタムフィールドという機能があり、ユーザー組織独自の情報、例えば、組織コードなどを持たせることができるため、これを検索条件に加えることができます。

タイム・マネジメント

REDMINEでは、すべての仕事がタスクに紐づいて管理されるのですが、必ずしもそうすることが現実的でない場合もあります。
例えば、同僚の仕事を短い時間手伝った、顧客からの緊急の電話に応対した、などです。

このような仕事に対してあらかじめチケットを発行することはできません。だからといって、それを管理の対象から除外したのでは、業務の可視化、見える化にはなりません。それらの時間は、業務の改善を行う上で、重要な情報かもしれません。

REDMINEでは、チケット外の時間を作業分類とともに記録することができます。そのため、担当者別に、チケット内で仕事をしている時間、チケット外で仕事をしている時間を分けて把握することができます。これは、コロナ禍を原因として従来に増してテレワークへの移行が加速しようとしている中で注目されている、タイム・マネジメント機能を提供することになります。

この記事に関する質問やご意見がありましたら、当サイトお問い合わせページまでお寄せください。

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